3月3日のひな祭り。桃の節句とも呼ばれるように、春めきとても華やいだ感じがしますよね。
女の子がいるご家庭では雛人形を飾り、ちらし寿司やはまぐりのお吸い物など縁起のよい行事食を食べ、健やかな成長を願いお祝いするのではないでしょうか。
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ひな祭りの飲み物といえば白酒。
有名な ♪灯りをつけましょぼんぼりに~ から始まる歌「うれしいひな祭り(作詞:サトウハチロー)」の中でも、3番の歌詞に「少し白酒めされたか 赤いお顔の右大臣」とありますよね。
そんなひな祭りの飲み物「白酒」ですが、みなさんは実際に飲んだことってありますか?。
「あるっ!、子供のころ白酒が好きでひな祭りになるとよく飲んでた~!」
という方も多いかもしれませんが、残念ながらそれは恐らく白酒ではない(はず)です。
今回は、ひな祭りの飲み物「白酒」について、よくいわれる甘酒との違いは何なのかなど、あらためて探っていきましょう。
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ひな祭りの飲み物「白酒」とは?
白酒とは、蒸したもち米にみりん、もしくは米麹と焼酎などを加えて仕込み、1ヶ月ほど熟成させた後のもろみを臼ですり潰して作るお酒です。
白酒のアルコール度数は10%前後で「リキュール」に該当する立派なお酒であり、酒税法上ご家庭では作ることはできません。
甘く口当たりのいいお酒ですが、アルコール10%前後といったら流行りのストロング系酎ハイより強い度数。
もしも「子供のころ白酒が好きでひな祭りになるとよく飲んでいたな~」といわれる方も、それはおそらく見た目が似てる甘酒との記憶違いだと思います。
白酒と称して甘酒を飲んでいたのでは?
白濁してとろみがある白酒は、見た目も甘酒ととても似ていることもあって、白酒=甘酒と思っている方も意外と多いようですね。
甘酒にも2種類あります。
1.酒粕をお湯に溶いて作る甘酒
2.米やご飯と米麹で作る甘酒
1.の酒粕で作る甘酒には、8%ほどのアルコール分が含まれます。
女の子の健やかな成長を願う「ひな祭り」の主役は当然子供たちですから、ご家庭では2.の米と米麹で作るアルコール分が含まれない甘酒を作り白酒の雰囲気を楽しまれていたということでしょう。
2.の米と米麹で作る甘酒は少々時間と手間がかかりますが、現代は「甘酒メーカー」を使えば簡単に作れますね。
> 甘酒の効果的な飲み方!時間や適量は?甘酒の簡単な作り方! <
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ひな祭りで白酒を飲む理由は?
ひな祭りの歴史を紐解けば平安時代にまで遡るものですが、ひな人形を飾ったり、ちらし寿司やはまぐりのお吸い物など行事食、白酒を楽しみお祝いするようになったのは江戸時代頃から。
ひな祭りに白酒を飲む理由もいくつかの説があり、なかでも2つの説が有力とされています。
女性の厄払いのため
1つは、大蛇の子をお腹に宿してしまった女性が、上巳の節句の3月3日に白酒を飲み、胎内の大蛇の子を流したという言い伝えにならい、厄除けや厄祓いの意味から、女の子に白酒を飲ませるようになったという説。
中国の桃花酒から白酒へ
もう1つが、上巳の節句とともに中国から伝えられた「桃花酒」から白酒へ変わっていったという説。
古代中国で桃は邪気を払う仙木であり、「桃の花を酒に入れて飲めば、百害を除き顔色を増す」といわれ、また、桃が百歳を表す「百歳(ももとせ)」に通じることから、上巳の節句でも桃の花を清酒に浸した「桃花酒(とうかしゅ)」が飲まれていました。
上巳の節句が日本に伝わり「桃の節句」や「ひな祭り」と呼ばれるようになり、桃花酒の代わりに白酒を飲むように変わっていったとされています。
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白酒はどこで買える?!
ひな祭り以外、白酒はあまり飲む機会がないかもしれませんが、甘酒ではない「本物の白酒」っていったいどこで買えるのでしょう。
ネット通販などを駆使すれば、「白酒」も様々なお店で扱われているものではあるのですが、今回は「白酒の歴史」を感じるお店を紹介します。
かつての江戸の町に「豊島屋」という、「山なれば富士、白酒なれば豊島屋」といわれたほど「白酒」で有名なお店がありました。
ひな祭りの時期になると江戸中から白酒を求め大勢の人が押し寄せたため、店舗の入口と出口を別々にしたり、予め引換券なるを購入していただくスタイルにしたりと販売方法にもいろいろ工夫を重ね、具合が悪くなる人に備えてお医者さんを手配するなど万全の体制で販売していたほど。
当時は鎌倉河岸(現在の千代田区内神田2丁目周辺)にお店を構えられていましたが、現在も千代田区猿楽町にお店を構えられています。
もちろん江戸の町で大人気だった白酒は現在も現役の商品として扱われていて、毎年1月下旬ころから販売開始されているそうです。
ビンに描かれた絵も可愛いらしく、当時の豊島屋での白酒売出しの風景が描かれた「江戸名所図会」とその裏には「白酒売り出しの口上」なるものも書かれていたりと、「本物の白酒ってどんな感じ?」と気になる方に面白い商品なのではと思います。
アルコール分は7度としっかりお酒ですので、大人の雛祭りにお楽しみください。
まとめ
今回は、ひな祭りの飲み物「白酒」について、甘酒との違いも含めあたらめて探ってみました。
子供の頃に、白酒と思って美味しく飲んでいたお酒の記憶は、おそらく子供でも飲めるようにと作った、アルコール分を含まない甘酒だったのかもしれませんね。
白酒も甘酒も白く濁った見た目もそっくりな飲み物なので、これまで「白酒=甘酒」と思われてきた方も多いと思いますが、実際にはまったく異なる飲み物。
それでも、ひな祭りで白酒を飲むという文化・風習を受け継ぐ意味では、それはそれで、とてもいいことだと思ったりします。
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