夏の嫌なものは?とアンケートを取れば、間違いなく蚊は上位にランクインすることでしょう。
ただでさえ寝苦しい夜に、プ~~~ンと耳障りな音で起こされて、さらに血を吸われようものなら痒いのなんの。
まとわりつくように耳元で飛ぶ蚊の音と痒みとの格闘で寝不足に。
それはそれは最悪な夜です。
一方、パシっ!と蚊を退治して思わず「よっしゃ~!」と思いきや、血を吸われてないはずなのに痒くなるなんてこともありますよね。
蚊が血を吸った後に痒いのは仕方ないとしても、間一髪!蚊に血を吸われてないタイミングで叩いたはずなのに痒くなるのはなぜでしょう。
今回は、蚊が血を吸った後はどうなるのか、血を吸われてないのになぜ痒いのかなど、蚊の謎について探ってみましょう。
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蚊はなぜ血を吸うのか?
蚊はなぜ、私たち人の血を吸うのでしょう。
生きるため?
いいえ、蚊も他の昆虫類と同じように生きるためのエネルギーは、主に花の蜜や樹液などのから得られる糖分。
それでは、なぜ蚊は私たちの血を吸う必要があるのでしょうか。
血を吸うのはメスの蚊だけ!
蚊が私たちの血を吸うか吸わないか、それが影響するのは「メスの蚊の産卵量」。
そもそもオスの蚊は、血を吸うための針すら持ち合わせていませんから、みなさんの血を吸う憎き蚊はすべてメスの蚊ということになります。
蚊が生きるための主食としている花の蜜や樹液などのから得られる糖分だけでも産卵じたいは可能ではありますが、私たちの血を吸うことで得られるたんぱく質によって、産卵数が飛躍的に多くなるのです。
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蚊に血を吸われた後なぜ痒い?
蚊が私たちの肌に止まり、針を刺してから血を吸った後に飛び立つまで、およそ2分30秒もの時間を要しているといいます。
私たちはそんなにも長い時間、蚊に血を吸われていることに気づかずに、後になって痒さで気づくのですね。
それもそのはず、蚊は血を吸うことに対して恐ろしいほどの知能犯なのです。
蚊は6本の針を使い分けて血を吸う!
痒くなるまで蚊に血を吸われたことに気づかないのは、その針が極細であるだけではありません。その理由は、蚊が下唇(かしん)に格納している6本もの針を使い分けていることに尽きます。
私たちに気づかれないよう、蚊が血を吸う作業は、まさにオペ(外科手術)を連想するものです。
蚊が血を吸うために、如何に6本の針を巧みに使っているのか。実際に蚊が血を吸う作業手順を確認すると、その凄さに驚きますよ。
小顎(こあご)
小顎と呼ばれる大外側2本の針。針の先端はノコギリ上になっていて、最後に血を吸う針(上唇)を刺すために皮膚を切り裂いていきます。
咽頭(いんとう)
皮膚を引き裂く小顎の痛みを気づかせないための麻酔成分、さらに最終的に血をスムースに吸えるように血が固まらない成分などが含まれた唾液を注入するための1本の針。
大顎(おおあご)
大顎は、手術器具に例えるなら鉗子(かんし)のような役目の針。最終的に血を吸う針(上唇)を刺すための穴を2本の針を巧く使って確保します。
上唇(じょうしん)
満を持して登場し、実際に血を吸う最も太いメインの1本針。
皮膚下の毛細血管を探りあて、ポンプのように血を吸い上げていきます。
蚊が血を血を吸った後はどうなる?
蚊が血を吸った後はどうなるのか?。
蚊に血を吸われたら、そりゃ考えるまでもなく痒くなるに決まってるでしょって?。
たしかにその通りではあるのですが、その痒みの原因は蚊に血を吸われたからではありません。
痒みの原因は、蚊が飛び立つ前に私たちのカラダに残していったお土産にあるのです。
蚊が私たちの血から欲しいのは、産卵数を増やすためのたんぱく質だけです。蚊は血を吸いながら、血に多く含まれる水分をお尻からオシッコとして私たちの肌へ排出しています。
蚊はオシッコでお腹のスペースを確保しつつ、たんぱく質たっぷりの満タン状態まで血を吸って飛び立っていくのです。
血を吸っただけでなくオシッコまでしていくとは驚きですが、問題のお土産は肌へ排出されたオシッコではありません。
痒みの原因となるお土産とは、先の血を吸う作業の流れで紹介した、咽頭から注入される麻酔成分や血が固まらない成分が含まれた唾液。
およそ2分30秒もの時間をかけて血を吸う間、10回以上も唾液を注入し続けているとされています。
蚊の唾液が私たちのカラダに注入され「アレルギー反応」を起こした結果、その痒さから蚊に血を吸われたことに気づくわけです。
血を吸った後の蚊は飛ぶのが遅い?
オシッコしながら時間をかけてお腹一杯に血を吸った後の蚊は、お腹が重くて飛ぶのも大変。当然飛ぶスピードも遅くなるでしょう。
近くをふらふらゆっくり飛んでいる蚊を見つけたら、もしやあなたの血を長い時間をかけて吸った後に飛び立った憎き蚊かもしれません。血を吸われた仇を討つなら、まさにこの瞬間!。
蚊に血を吸われてないのになぜ痒い?
なにやら膝頭がモゾモゾと。スマホから視線を移すと、1匹の蚊がまさに血を吸おうと膝頭に止まっている姿が…
「ちょまてよ!」とパシッと叩き、なんとか蚊に血を吸われてないタイミングで助かったと思いきや、後々痒くなるなんてことありませんか?。
蚊に血を吸われてないはずなのに、なぜ痒くなるのでしょう。
血を吸う前でも唾液が注入されていたならアウト!?
先の「蚊に血を吸われた後なぜ痒い?」のところで紹介したように、蚊は実際に血を吸う最も太いメインの針(上唇)を刺す前に、咽頭という針を刺して麻酔や血を固まらせない成分が含まれる唾液を注入しています。
そうです、もしも肌にとまった蚊を見つけた瞬間にパシッと叩けたとしても、すでに唾液が注入されいたらアウトということ。
蚊に注入された唾液がアレルギー反応を起こした結果、痒みとともに赤く腫れたりするのです。
残念なことに、この血を吸わないタイミングで蚊を叩くことは、より痒みが強くなることにもつながるといいます。
最後に、肌に止まった蚊を見つけた私たちはどうしたらいいのか?について見ていきましょう。
蚊が血を吸い終えるまで見届けると痒みが軽くなる!?
肌に止まった蚊を見つけた私たちはどうしたらいいのか?。それは、いつ肌に止まった蚊なのかを見極める必要があります。
あなたが見つけた蚊は、次の➀~➃のいずれでしょうか…という点。
➀血を吸いに肌に止まったばかり
➁ノコギリ状の針(小顎)を刺したあたり
➂咽頭で唾液を注入している最中
➃上唇で血を吸っている
➄血を吸い終えたところ
もうお分かりのように、➂の唾液を注入された後にパシッと叩いても痒くなるのは逃れられません。
問題は蚊に血を吸われた・吸われてないではなく、アレルギーの原因となる➂の唾液が注入された後か前かにあります。
蚊は血を吸い終えたあと唾液を回収している!?
アレルギーを起こし痒みの原因となる蚊の唾液は、血を吸っていることに気づかれないための麻酔効果と血が固まらないようにするためを目的に注入されますが、律儀なことに蚊は血を吸い終えたあと可能な限り回収して飛び立っていきます。
そう、私たちの血を吸う憎き蚊の姿を見掛けても、血を吸い終え唾液を回収して自然と飛び立つまで待つことで、その後の「痒み度数」が軽減されることへ繋がるというのです。
それでも、痒みがどこまで軽減されるかには疑問が残ります。
前途したとおり、蚊は血を吸っている間にも吸いやすくするために唾液をどんどん注入しています。オシッコしながらお腹のスペースを空けてまで血を吸っています。
個人的には、それほど「タップリ血を吸った蚊のお腹に唾液を回収するだけの余力があるのか?」と甚だ疑問が残るんですよね。
まとめ
今回は、蚊が血を吸った後はどうなるのか、血を吸われてないのになぜ痒いのかについて、蚊が肌に止まってから実際に血を吸い終えるまでのメカニズムとともに紹介してきました。
麻酔を施し、切って開いて、太い針を刺して血を吸う流れは、まさに外科手術を彷彿とさせるものでした。
血を吸われていないであろうタイミングで蚊を叩いても、唾液が注入された後だと残念ながらアウトだったんですね。
また、蚊は血を吸い終えたあとに痒みの原因となる唾液を可能な限り回収していくので、自然と飛び立つまで叩かず我慢すると後々の痒みが軽減されるという情報もありますが… どうでしょう。
正直、私は「肌に止まった蚊を見たら咄嗟に叩くべき」と思いますけどね。