2020年6月30日施行の道路交通法改正で、妨害運転いわゆる「煽り運転」に対する罰則が創設されたものの、いまだ露骨な煽り運転で怖い思いをされる方も少なくないでしょう。
実際、現役タクシー運転手の私(chiezon)だって、仕事中に煽り運転されてしまうことがありますから。
ただ、煽り運転されてしまう原因の多くは煽り運転される側にも問題があると思っていて、とくに車線変更の時の運転マナーをちょっと心掛けるだけで、だいぶ防ぐことができるのも事実だったりします。
私は会社の行灯(あんどん)背負って走っている身ですから、煽り運転する側になるなど以ての外ではありますが(苦笑)、例えば、目の前に急に入られたり、路地から「おいおいっ!」といいたくなるタイミングで出てくるような運転されたら、やっぱりイラッとしてしまいます。
ということで今回は、煽り運転されない車線変更のマナーやコツ、万が一煽られた時の対処方法まで一緒に確認していきましょう。
スポンサーリンク
煽り運転されない車線変更のマナーやコツ!
自動車保険会社チューリッヒが2022年6月に実施した「あおり運転の実態調査」で、自身のどんな行為が煽り運転をされるきっかけとなったと思うかに対し、「車線変更した」が24.4%ともっとも多く、次いで「スピードが遅かった」が17.1%、「合流をした」が14.6%という結果となっていることからも、前を塞がれたと感じた後続ドライバーの怒りが煽り運転に繋がってしまっている傾向が窺えます。
例えば、ブレーキを踏ませるなど減速を強いるようなタイミングでの車線変更だったり、ウインカーの出し方が下手もしくはウインカー無しで入ってこられたら誰だってイラっとしますよね。
ちなみに現役タクシー運転手の私も、首都高速など目的地までに車線変更が連続する道路では、次はどちらへ曲がるのか、どの車線を走行すべきかを常にカーナビで確認しながら、早め早めに車線変更しておくなど、後続車両を苛立たせない運転を心掛けています。
車線変更のタイミング
まず、車線変更のタイミングを考えてみましょう。
もしも、自分だったらどう思うかイメージしてみて下さい。
例えば前を走る車との車間距離を大きく取っているときって、車線変更して入ってくる車がいてもとくに減速する(ブレーキを踏む)わけでもなく、然程イラっとしませんよね。
いやいや、そもそも前に入られることじたい気に喰わないわ!という方でなければ、車線変更で入ってくるだけで煽り運転モードのスイッチが入ってしまうことはないと思います。
ということで、煽り運転されない理想的な車線変更のタイミングとしては、車線変更(進路変更)しても後続車が減速する(ブレーキを踏む)必要がない車間距離となるでしょう。
でも、それが出来る状況の方がラッキーで、後続車の車間距離がそれほど大きくないタイミングでも、車線変更する必要に迫られることの方が普通じゃないですか?。
そこで考えなきゃいけないのが、車線変更のときのウインカーの出し方になります。
車線変更のウインカーの出し方
後続車の車間距離がそれほど大きくないタイミング、後続車に減速を強いる(ブレーキを踏ませてしまう)タイミングで車線変更しなければならない場合、ウインカーの出し方が非常に重要。
加えるなら、スピードでしょうか。
もちろん、車線変更する直前にウインカーを出してハンドルを切って入るなんてのは以ての外。
とはいえ、遥か手前から出してるのになかなか入らないのも「入るなら早く入れよ!」とキレられかねませんから難しいところです。
ギリギリより、早めの方が無難といえば無難ではありますが…
車線変更しなければならないタイミングの少し前からドアミラーで後続車の様子を見ながら走り、少し大きめに前者との車間距離を取っている車があったら、その前の車が自車の横に近づいた辺りのタイミングでウインカーを出して入るのがコツ。
スムーズに入れてくれるケースが多いと思います。
それでも、ウインカーを出したタイミングで大きかった車間距離をわざわざ加速して詰めてきた場合、その車の前で車線変更するのは見送りましょう。
「折角あけてる車間距離に入ってくるなよ!」とわざと詰めてくる短気な方でしょうから、次の「入れてくれそうな車」を待つのが無難です。
車線変更のハンドル操作
走行車線の前後の車や、変更したい車線の車間距離など周囲の状況を確認しながら車間変更のタイミングを窺がい、少し早めにウインカーを出す。
最終的に安全を確認できたら、いよいよ車線変更するわけですが、慌ててハンドルを大きく回す必要はありません。
すぐ隣へ車線変更するだけです。
焦ってスピードを上げたりせず、車線変更するレーンを走る先行車と後続車のスピードに合わせた上で、ゆっくり手首を捻る程度のハンドル操作でスムーズに入っていくのがコツです。
多少後続車両にブレーキを踏ませるような無理っぽい車線変更であっても、早めのウインカーとある程度前後に同調したスピードで、ゆったりと少しづつ入ることで、後続車のイライラは抑えられるといいます。
逆に、車がロールするような急なハンドル操作で慌てて入ってこられるような進路変更されると、後続車両は「なんだ?おいおいっ!」という感情になりがちです。
スポンサーリンク
煽り運転されない車線変更後のお礼の合図
煽り運転されない車線変更のマナーやコツとして、タイミング・ウインカーの出し方・ハンドル操作などを紹介してきましたが、仕上げとなるのが車線変更前後の「お礼の合図」です。
お礼の合図は3つ!
➀ ハザード(サンキューハザード)
➁ 片手上げ
➂ 窓を開けての片手上げ
少し無理目な車線変更、ちょっとイラっとさせる車線変更でも、「ありがとう」の気持ちを合図で表すことで煽り運転に繋がるイラっとした感情を抑えられます。
お礼の合図➀:ハザードランプ
車線変更や割り込みなど車線を譲ってもらったら、ハザードランプ(通称:サンキューハザード)を点滅させて後続車へ感謝の意を表します。
このサンキューハザードについて「本当は違法なのでは?」という意見もあるようですが、マナーとして慣例的に広く受け入れられているのが実情でしょう。
無理目な車線変更でないけれど、とりあえず「ありがとう」を伝えるならハザード2回点滅。
ちょっとイラっとさせたかな?と思ったら、「ごめんなさい」とハザード3回点滅。
現役タクシー運転手の私も、車線変更や割り込んできた車がハザード点滅させたなら、「ありがとう」もしくは「ごめんなさい」を表してくれているのだろうなと思い、怒りの感情を抱くことはありません。
むしろ「どうぞどうぞ」かも。
お礼の合図➁:片手上げ
車線変更後というより、入れてもらうタイミングで「すみません」「譲ってくれてありがとう」と片手を上げて感謝の意を表します。
窓が閉まった車内での片手上げも、意外と後方車から見えますし、後続車のドライバーも見ています。片手上げ+軽く会釈が理想的ですね。
現役タクシー運転手の私の場合、さらに「本当にすみません」の気持ちを表情で表しながら会釈するようにしています。
お礼の合図➂:窓を開けての片手上げ
ちょっと無理目の車線変更や割り込みとなってしまう場合、窓を開けての片手上げはかなり有効。
これも合図➁の片手上げと同様に車線変更後というより、ウインカーを出し、実際に変更する前や入れてもらうタイミングでするのがベストです。
窓が閉まった車内での片手上げも意外と後方車から見えるものですが、窓を開けるという行為は「帽子を脱いで頭を下げる」のと同じくらい丁寧に感じますし、「どうしても入れてもらいたい」気持ちが伝わります。
もしも助手席に同乗者がいて、左車線へ移動したいときにはぜひ助手席の方にも窓を開けて片手を上げてもらいましょう。
以上、煽り運転されない車線変更のマナーやコツ!を紹介しましたが、“なるべく怒らせないようにする” これに尽きますね。
スポンサーリンク
煽り運転されたときの対処方法
煽り運転されるきっかけとして最も多い「車線変更」に対し、車線変更のタイミングやウインカーの出し方、車線変更後のお礼の合図などいろいろ駆使しても煽り運転されてしまった場合どう対処すればいいのか。より無難な対処方法を事前に心得ておきましょう。
煽り運転する相手はおそらくイライラ全開の状態ですから、たとえ煽り運転されたとしても、腹を立てず、気持ちに余裕をもって対応するのが肝要です。
一旦停車して道をゆずる
煽り運転されたときの一番の対処方法は安全運転を続けて「無視する」ことです。
無視し続けても執拗に煽ってくる場合には、ハザードランプを点滅させながらながら車を左に寄せ、一旦停車して道をゆずり前に行ってもらいましょう。
煽り運転してくる多くの相手はそれで満足して、そのまま抜き去ってくれることが多いようです。
高速道路で煽られたら?
高速道路で煽られた場合、たとえ路側帯であっても一旦停車してやり過ごすことは、後続車両に追突される危険もあります。
法定速度で安全運転を続け、一番近いサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)へ入って逃げるのがベストです。
割り込んでこられたら?
怒りまかせに激しく割り込んでこられたら、慌てずに速度を落として車間を長めに保ちます。
ブレーキを踏むと同時にハザードランプを点滅させて、後方の車に減速を知らせます。
しつこく追い回されたら?
逃げても逃げてもしつこく追いかけ回される場合は、コンビニの駐車場など人目につく場所に避難しましょう。
高速道度ではサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)の売店やトイレ周辺のより人目の多い場所へ。
安全な場所に車を停めたら、110番で警察へ通報し車内で待機します。
通報の際は、煽り運転された状況と現在地、相手の車のナンバー、車種や色などの特徴を伝えます。
スマホで通報すれば現在地が把握される!
詳細な現在地がわからなくてもスマートフォンから110番通報すれば、スマートフォンのGPS機能を用いて緊急通報位置通知の仕組みが働き、通報と同時に警察へ現在地座標データが送信されます。
現在地を伝えられなくてもスマートフォンで110番通報すれば、警察は通報場所を把握して急行してくれます。(消防も同様です)
ドアや窓は絶対に開けない!
駐車場などに車を停めたときに、煽り運転してきた相手が車を降りて近づいてきても、ドアをロックし、絶対にドアや窓を開けてはいけません。
相手は頭に血が上っています。自分と同乗者の身の安全を第一に考えましょう。
何か話しかけてきたり、怒鳴られたり、最悪車を蹴られたりしても相手にせずパトカーが到着するまでジッと我慢です。
まとめ
煽り運転されない車線変更のマナーやコツ、万が一煽られた時の対処方法など取り上げてきました。
車線変更のタイミングやウインカーの出し方、ハンドル操作に加えて、サンキューハザードなどお礼の合図などもお伝えしましたが、兎に角 “なるべく怒らせないように運転する” これに尽きます。
万一煽り運転された場合は、左に寄せて一旦停車してやり過ごしたり、人目の多い駐車場へ避難しますが、あまりしつこく追い掛け回されるようなら、110番で警察へ通報しましょう。
現在地がわからなくても、警察は緊急通報位置通知の仕組みから、スマートフォンのGPS機能で通報場所を把握して急行してくれます。
最近のドライブレコーダーは、安価でも高品質な製品が多くなっています。
事故だけでなく、煽り運転にも状況記録が役立つことから、ドライブレコーダーの設置も検討に値しますが、「ドライブレコーダー録画中」などのステッカーを貼っておくだけでも、煽り運転対策に繋がりますよ。
スポンサーリンク