先日、夕暮れ時に犬の散歩で歩いていると、ちょっとした水路でホタルの光を目にしました。
数こそ少いものでしたが、思いがけない光景に思わず「うわっ!ホタル?!」と声を上げてしまいました。
たしか…
ホタルの種類には、源氏と平家があると子供のころに教わった記憶があります。
とはいえ、この源氏と平家、2種類のホタルの名前の由来や、見分け方となる特徴の違いなどを知らないのは、私だけではないと思いました。
ホタルの時期を迎えた今回、ホタルに源氏と平家がある由来や、ホタルの種類の見分け方となる特徴の違いについて探ってみたいと思います。
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ホタルに源氏と平家がある由来は?
ホタルの種類に源氏「ゲンジボタル」と平家「ヘイケボタル」があることは、子供のころからご存知の方も多いと思います。
しかし、その由来となると、「源平合戦」など源氏と平家の歴史的な関係に由来したものだろうと単に考えてしまうのではありませんか?。
ここでは、ホタルに源氏と平家がある由来について、古くから支持されている代表的な由来とその理由を取り上げてみたいと思います。
源氏と平家による「源平合戦」の歴史に由来する!?
1180年~1185年の6年に渡る大規模な内乱「源平合戦」は、最終的には源頼朝が率いる「源氏」が壇之浦で平家を打ち破り、平家を滅ぼし終わります。
しかし、その源平合戦の歴史を遡ると、平家に源氏が破れた戦いが多々あったことも史実です。
ゲンジボタルの名前の由来には、源氏が勝っても負けても、それぞれが由来に挙げられているようです。
源頼政の亡霊説!?
源頼政(みなもとのよりまさ)とは、平安時代末期の武将です。
この頃の政治は平家が牛耳っていましたが、そのなか源頼政は「従三位」という高位につくことができました。
当時の源氏としては、役職的には破格の待遇だったに違いありません。それだけ、政治能力の高い武将だったのでしょう。
源平合戦のきっかけとなった「保元の乱」以降、源氏と平家の2つの武家が中央政界でそれぞれ地位を確立していきました。
その後の「平治の乱」で平清盛が源義朝を破り、源氏勢力は一時的に衰退していきますが、平家の専横ぶりに、少しずつ不満を持つ人が多くなっていきます。
そこで、源頼政は以仁王(後白河上皇の子)と手を組み、平家を打倒する計画を練ったのです。
ところが、その計画が平家にバレてしまったことから中途半端な準備で挙兵したため、平家に追われる形となり、宇治平等院の戦いに敗れて自害したのです。
この戦いで平家打倒の夢が破れ、無念の最期を遂げた源頼政の思いが亡霊となり、ホタルに姿をかえて戦ったという伝説がゲンジボタルの由来の1つとされるもの。
源氏物語「光源氏」が由来!?
こちらは、ゲンジボタルの「源氏」とは武家の「源氏」ではなく、作者・紫式部の源氏物語の「光源氏」が由来となる説。
物語の中にある、光源氏が「蛍のような光を放つ」というくだりに由来したものではないかというもの。
験者火垂(ゲンシャボタル)が由来!?
ホタルが発光するのは、繁殖のためパートナーにアピールするためですが、この現象を「山伏」など修行をする修験者(験者)たちは、神秘な光とし、ホタルの光に霊力を感じていたようです。
このことから、山伏たちの中では「験者火垂(ゲンシャホタル)」と名付けられ、それが訛っていつしか「ゲンジボタル」と呼ばれるようになったという説。
ヘイケボタルは源平合戦の敗者「平家」が由来!?
ゲンジボタルの「源氏」の由来には諸説ありましたが、ヘイケボタルの「平家」こそ、まさしく「源平合戦」最後の戦いに敗れ滅びた「平家」に由来したものです。
ゲンジボタルと比べて、一回り小さいヘイケボタル。
日本に生息する2大ホタルのうち、大きい方が源平合戦で最終的に壇之浦の戦いで勝者となった「源氏」にあやかりゲンジボタル。
小さい方が、敗れ滅ぼされた「平家」の名をとりヘイケボタルとなったという説です。
一時は栄華を極めた「平家」に失礼な例えではありますが、とてもわかりやすい由来です。
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ゲンジボタルとヘイケボタルの違いは?
世界では約2,000種類、日本国内でも46種類のホタルが生息しているとされます。
日本国内に生息するホタルが46種類にも及ぶことに大変驚かされますが、身近なホタルといえば、やはりゲンジボタルとヘイケボタルの2種類です。
どうでしょう、ホタルというと「川や田んぼ」など水辺に生息するイメージがありますが、実際には世界のホタル約2,000種類のうち「水生ホタル」は僅か10種類です。
そのうちの3種類(ゲンジボタル・ヘイケボタル・クメジマボタル)が日本に生息することから、日本ではホタルに抱くイメージは「水生」となるのです。
ところで、このゲンジボタルとヘイケボタル。
よく観察すると、多くの違いがあることがわかります。
源平合戦では最大のライバル関係にあった源氏と平家も、その身をホタルに置換えると、優雅な光の強さや飛びかう時期の違いなど、まるでライバルとはなり得ないようです。
ゲンジボタルの特徴は?
出典:Wikipedia|ゲンジボタル|著者:アルプスダケ
ゲンジボタルは日本固有種のホタルで、生息域は、本州・四国・九州です。
体長は約10~20㎜で、前胸部のピンクの斑点の中に「黒い十字架」のような模様があるのが特徴です。
ゲンジボタルは、比較的キレイな河川を好み生息することで有名なホタル。
ゲンジボタルの発光は強く、時期としては5月~7月上旬に乱舞します。
ゲンジボタルが放つ光の点滅の回数は、1分間におよそ25~30回といわれていますが、関東と関西でも違いがあるとされ、関東地方では4秒に1回(1分間に15回)、関西地方では2秒に1回(1分間に30回)点滅するといいます。
ヘイケボタルの特徴は?
出典:Wikipedia|ヘイケボタル|著者:yellow_bird_woodstock
ヘイケボタルの生息域は日本全土に分布するように、日本国内で代表的なホテルの種類ですが、日本固有種ではなく東シベリアや朝鮮半島などにも生息しています。
体長は約7~10㎜と小柄でゲンジボタルより一回り小さく、特徴は前胸部のピンクの斑点の中に「黒く太い一本筋」。
比較的キレイな河川を好むゲンジボタルに対して、ヘイケボタルの生息地は池や田んぼで、少し汚れた池や住宅周辺の舗装された小川でも、食べ物になる生き物がいれば、コンクリートの割れ目などに生息する強さがあります。
どうやら、源平合戦で敗れた「平家」に由来したヘイケボタルの方が、生命力は強いように感じます。
ヘイケボタルが飛びかい光る時期は7月~8月。
発光に関しては、カラダが小さいので光が弱いのは仕方ありませんが、点滅の回数が1分間に30~40回とゲンジボタルより多いところは、ヘイケボタルも負けてはいませんね。
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ゲンジボタルとヘイケボタルの見分け方!
ここまで取り上げた、ゲンジボタルとヘイケボタルの特徴を比較すると、見分け方のポイントは4つ。
・カラダの大きさの違い
・前胸部の模様の違い
・光りの強さの違い
・飛び交う時期の違い
見分け方➀:カラダの大きさの違い
ゲンジボタルの体長が約10~20㎜であるのに対し、ヘイケボタルは約7~10mmということで、ヘイケボタルの方が一回りほど小さいです。
見分け方➁:前胸部の模様の違い
ゲンジボタルは、前胸部のピンクの斑点に黒い十字の線が入っていますが、ヘイケボタルは、前胸部のピンクの斑点に黒く太い一本線。
この線の入り方の違いが、ゲンジボタルとヘイケボタルの見分け方としては一番簡単な方法といえるでしょう。
見分け方➂:光りの強さの違い
光り方・光の強さにも、それぞれ個性があります。
光の強さの違いは、ゲンジボタルは光が強く明るいのに対し、ヘイケボタルの光は比較的弱い光を放ちながら行動しています。
また、光の点滅の仕方も、ゲンジボタルが1分間に25~30回点滅するのに対し、ヘイケボタルは30~40回点滅します。
つまり、ヘイケボタルの方が忙しなく光を発しているんですね。
見分け方➃:飛び交う時期の違い
ゲンジボタルとヘイケボタルには、飛び交う時期が微妙に違います。
ゲンジボタルは5月~7月上旬に、ヘイケボタルは7月~8月に飛びかうといわれます。
同じ時期に一緒に飛び交う様子を見ることもあるでしょう。運良くそんなタイミングに出くわしたなら、ゲンジボタルとヘイケボタルの違いをじっくり観察してみては如何でしょうか。
まとめ
今回は「ホタルに源氏と平家がある由来は?」をメインテーマに、見分け方に繋がる特徴の違いを探ってきました。
ホタルのに源氏と平家がある由来は、やはり「源平合戦」の勝ち負けが深く関わっているようですね。
保元の乱をきっかけに始まった源平合戦で、壇之浦の戦いで最終的な勝者となり「鎌倉幕府」をひらいた源氏こそ、大きなカラダと強い光を発し飛び交う「ゲンジボタル」の由来となり、やや小ぶりでゲンジボタルと時期をずらすように光るヘイケボタル。
ゲンジボタルとヘイケボタルの見分け方は、カラダの大きさも然ることながら、最たるは、前胸部のピンクの斑点の中の黒い線が十字か一本線かの違いです。
ところで、ホタルと私たち日本人の関わりは古く、西暦720年に成立した歴史書「日本書紀」に書かれていたり「万葉集」にも登場します。
それだけ、幻想的な光を放つホタルは、日本人に強いインパクトを与え続けてきたのですね。
今回の記事を紹介するきっかけとなった、私が水路で見かけたホタルは、環境的にも時期的にもヘイケボタルと考えられます。
ホタルは、その「地域の環境の良し悪し」を示す指標の1つになるとされます。
私は、これからも「ゲンジボタルやヘイケボタルが見られる環境」を守っていかなければ…と改めて思いを強くしました。
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