「みょうがを食べ過ぎると物忘れがひどくなる」
そんな不思議な言い伝えを、聞いたことはありませんか?。
みょうがの爽やかな香りと苦味、シャキシャキッとした独特の食感は、暑い夏の食欲を支えてくれますよね。
冷奴やそうめんとの相性も抜群ですし、みょうがは正に「夏の薬味の王様」だと思います。
しかし、私はみょうがを食べるたびに「みょうがを食べ過ぎると物忘れがひどくなる」という言い伝えが、妙に気になって仕方ありません(笑)。
「みょうがを食べ過ぎるとバカになる」
なんて、さらにストレートな言われ方も聞きます。
いったい、これらの言い伝えに根拠はあるのでしょうか。
みょうがを食べ過ぎると物忘れがひどくなるのが本当なら、スーパーで普通に売られているはずがありません(笑)。
それでも、昔から「火のないところに煙は立たない」と言います。
「みょうの食べ過ぎ」と「物忘れがひどくなる」ことに、いったいどんな関係があるのか、どんな根拠があって言い伝えられてきたのか、あらためて探ってみましょう!。
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みょうがを食べ過ぎると物忘れがひどくなる?言い伝えは本当か?!
みょうがを食べるたびに頭をよぎる「みょうがを食べ過ぎると物忘れがひどくなる」という言い伝えですが、
みょうがに含まれる成分など、どれほど探ってみても、「物忘れ」や「馬鹿」の原因となりそうなデータを見つけることが出来ません。
言い伝えとは、そんなもんですよね(苦笑)。
本当にみょうがを食べ過ぎると物忘れがひどくなるなら、「食品表示法」に基づいて、
「みょうがの食べ過ぎに注意しましょう。物忘れがひどくなる場合があります」
と、絶対に表記が必要なレベルの話ですもの。
ではなぜ、「みょうがを食べ過ぎると物忘れがひどくなる」、言葉悪くいえば「みょうがを食べ過ぎるとバカになる」という言い伝えが生まれたのでしょう?。
みょうがと物忘れの関係は、お釈迦様の弟子の逸話から生まれた?!
その昔、お釈迦様の弟子に周利槃特(シュリハンドク)という、のちに「悟り」を開くほどの優秀な人がいました。
しかし、周利槃特は物忘れがひどく、ときに自分の名前すら忘れてしまうこともあったほどだといいます。
それでも熱心に修行を重ねる弟子、周利槃特を不憫に思ったお釈迦様は、自分の名前を書いた札を首に下げて歩くように命じました。
周利槃特は、自分の愚かさに涙を流しながらも、お釈迦様の教えのとおり自分の名前を書いた札を首に下げながら、くる日もくる日も掃除や托鉢につとめます。
いずれ周利槃特は、自分の心に宿るゴミまでも除くに至って悟りをひらき、阿羅漢と呼ばれる聖者の位にまで昇りつめたのです。
お釈迦様は大衆の前で、弟子の周利槃特を例にあげ「何事も徹底して行うことが大切」であることを説いたそうです。
周利槃特が亡くなった後、埋葬されたお墓のまわりに見慣れない植物が芽を出します。
それも、「周利槃特」と書かれた札を下げて…。
名前が書かれた札(名札)を荷物として芽生えた植物は「茗荷(みょうが)」と名付けられ、「周利槃特の生まれ変わり」とされたのです。
「みょうがを食べ過ぎると物忘れがひどくなる」
という言い伝えは、みょうがが物忘れがひどかった「周利槃特の生まれ変わり」とされたことが由来となっているようです。
古典落語の「茗荷宿」でみょうが=物忘れが拡散した!?
「みょうがを食べ過ぎると物忘れがひどくなる」
もちろん、本当のことでないとわかっていながら、ここまで言い伝えが広まった背景に、周利槃特とみょうがの逸話を元に作られた、古典落語の「茗荷宿(みょうがやど)の噺が人気だったことにあるといわれます。
とある宿場町のはずれにある宿屋。
「客が泊まらない…」と嘆く宿の夫婦の元に、「石につまづき走れなくなった」という京都と江戸を往復する飛脚が、一晩休ませて欲しいと尋ねてきます。
飛脚は、「足に薬を塗って食事をしたらすぐに寝るので、荷物を預かってくれないか」と言います。
中身を聞くと、50両が2つ、あわせて100両という大金。
これを聞いた宿の夫婦は、「みょうがを食べ過ぎると物忘れがひどくなる」という言い伝えを思いつき、これはチャンス!と、宿のまわりに生えたみょうがを使った料理を飛脚にたらふく食べさせたのです。
翌朝、飛脚が「なんだか朝からポ~ッとしているんだ」ということに、宿の夫婦はシメシメと…。
朝食を終えた飛脚は、宿の夫婦が願ったとおり、預けた100両を忘れて宿を出ていきます。
作戦成功!とばかりに、宿の夫婦は喜びます。
しかし、そのオチはというと…
飛脚に出したみょうが料理の残りを食べた夫婦も、頭がポ~ッ。
戻ってきた飛脚は、「預けた荷物を忘れていた!」と預けた100両を受け取り、一目散に走り去っていきます。
宿の夫婦は…
「何か忘れ物はないか?」
「あっ、肝心の宿賃をもらうの忘れた!」というもの(笑)。
私たちに「みょうがを食べ過ぎると物忘れがひどくなる」という言い伝えがすり込まれているのは、この古典落語「茗荷宿」が人気となって拡散されたことにあるのかもしれませんね。
ネット社会の現代なら、TwitterなどSNSであっという間に拡散してしまいそうですね。
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みょうがは食べ過ぎても大丈夫?物忘れどころか頭スッキリ効果も?!
「みょうがを食べ過ぎると物忘れがひどくなる」、さらに「みょうがを食べ過ぎると馬鹿になる」などストレートな表現もある言い伝え。
いやいや、そんなワケないでしょ?
と思いつつも、みょうがを食べるたびに頭をよぎります(苦笑)。
しかし、冒頭でも紹介したように、みょうがに「物忘れ」がひどくなるような成分は含まれていません。
みょうがは、少々食べ過ぎたとしても大丈夫です!。
逆に、みょうがには物忘れがひどくなるどころか、頭をスッキリさせる効果が期待される成分「アルファピネン」の他、暑い夏の薬味の王様と呼ぶに相応しい、カラダにいい成分がたくさん含まれているのです!。
アルファピネン
聞きなれない成分名ではありますが、この「アルファピネン」は、みょうが特有の香りの元となるもので、リラックス効果をもたらし、血行をよくする働きがあります。
みょうが特有の香りは、自律神経に作用して胃腸の調子を整えてくれるので、夏バテ防止にも効果的。
さらに、このアルファピネンの香りには、大脳皮質が刺激され覚醒を促す働きがあることから、眠気を覚まし、頭をスッキリさせることで集中力の向上につながるといわれているのです。
血液サラサラ効果も嬉しい。
カリウム
「カリウム」は、たくさん汗をかく暑い夏にこそ欠かせない成分。
カリウムが持つ解毒作用は、血液中の余分な塩分をカラダの外へと排出することから、血圧を下げ、心拍数を下げることが期待されます。
デトックス効果から、ダイエットにもいいと言われています。
カンフェン
「カンフェン」が持つ抗炎症作用も、火照ったカラダを冷やす効果があるので、夏バテ防止に効果的!。
夏風邪など、のどの痛みにも効くとされます。
そのほか、解熱作用や頭痛に効くという「ゲラニオール」や、眼病予防、眼精疲労の予防に効く「アントシアニン」など、みょうがには様々な成分がみょうがには含まれています。
みょうがはやはり「夏の薬味の王様」。
物忘れがひどくなる心配がないのなら、みょうがには積極的に食べたい成分ばかりですね!。
みょうがを食べ過ぎるとお腹をこわす?下痢や吐き気も?!
みょうがをどんなに食べ過ぎても、含まれる成分からみて「物忘れがひどくなる」ことに科学的根拠がないのは明らかなのです。
しかし、みょうがの食べ過ぎで注意すべきは、みょうがを食べ過ぎることで、下痢や吐き気といった「お腹をこわす」こともあるということ。
みょうが特有の辛味や苦味の元となる「アク」の成分を大量に摂ってしまうと、その強い刺激が胃腸へ加わり、下痢や吐き気などお腹をこわす原因となり得るのです。
また、もともと胃腸が弱いの場合、刺激の強いみょうがを食べることが栄養の吸収の妨げになってしまうこともあるといいます。
胃腸が弱い人や、すでの夏バテ気味のひとは、刻んだみょうがを一度水にしばらく晒して、アクを抜いてから食べるといいでしょう。
まとめ
みょうがというと、暑い夏に食べたくなる、そうめん・冷や麦・冷奴などサッパリ系の食べ物に欠かせない「夏の薬味の王様」。
みょうがを食べるたびに、「みょうがを食べ過ぎると物忘れがひどくなる」と言い伝えが頭によぎっていましたが、今回の記事を紹介するにあたって、言い伝えに科学的根拠がないことがわかりました。
「みょうがを食べ過ぎると物忘れがひどくなる」
この言い伝えの由来を探れば、みょうがは、お釈迦様の弟子の1人、物忘れがひどい周利槃特(シュリハンドク)の生まれ変わりとされたことや、古典落語の「茗荷宿(みょうがやど)」が人気となり、「みょうが=物忘れ」がまことしやかに拡散されたことだったようです。
みょうがを食べ過ぎれば、下痢や嘔吐など「お腹をこわす」ことは本当ですが、決して「物忘れがひどく」はなりません。
物忘れがひどくなるどころか、みょうがには頭をスッキリさせる効果や、健康なカラダづくりに役立つ成分もたくさん含まれているのです。
物忘れのことは気にせず、美味しく食べて、暑い夏を乗り切っていきましょう!。
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