ごぼう(牛蒡)といえば、腸の働きを整えてくれる、食物繊維が豊富な野菜の代表格。
ごぼうは、調理中にあくが出るのが特徴で、料理本やレシピサイトなどでは必ずあく抜きするように明記されるように、一般的に下処理であく抜きが必要な野菜とされています。
しかし、ごぼうはあく抜き不要、あく抜きしない方がいいことをご存じでしょうか。
あく抜きしないと、見た目が悪く、土臭さや苦味が残ってしまうといわれますが、その反面、あく抜きすることで、カラダに大切な食物繊維やポリフェノールなど、健康成分が半減してしまうデメリットの方が大きいのです。
今回は、あく抜きすることで失われてしまうごぼうの健康効果など、あく抜きしない方がいい理由をお伝えしながら、ごぼうの栄養や風味を損ねない下処理方法まで詳しく紹介していきます。
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ごぼうはあく抜き不要!?
ごぼうは調理中にあくが出るのが特徴で、一般的には下処理で「あく抜き」するのが常識のように思われています。
あく抜きは、カラダに有害な成分を取り除くことや、苦みや臭みを取り除くことが目的ではありますが、ごぼうにはカラダに有害な物質など一切含まれていません。
むしろ、あく抜きすることでごぼうに含まれる栄養素やその効果が失われるデメリットの方が大きいといえるでしょう。
ごぼうに含まれる栄養素、期待される効果・効能を知ることで、ごぼうはあく抜きしない方がいい理由が見えてきます。
ごぼうに期待される栄養素と効能とは?
ごぼうに含まれる栄養素となれば、やはり一番は食物繊維。水溶性・不溶性ともに豊富な食物繊維が含まれます。
特筆すべきが、水溶性食物繊維のイヌリン。
水溶性食物繊維イヌリンの健康効果
ビフィズス菌を増やしお腹の調子を整える
腸内の善玉菌が増えることで「腸内フローラ」が改善され、お腹の調子が整えられます。
中性脂肪の低減効果
脂肪の吸収抑制効果によって、血中に含まれる中性脂肪を低減させる効果も期待されます。
食後の血糖値上昇を抑える
食後の血糖値の上昇を緩やかにする効果は、「隠れ糖尿病」ともいわれる食後過血糖の方に最適。
食後だけでなく、より長期的な効果も期待されます。
アルギニンの疲労回復効果
ごぼうに疲労回復効果があると昔からいわれている理由は、ごぼうに豊富に含まれるアルギニンの効果によるものと考えられます。
アルギニンは非必須アミノ酸なので、体内でも生成されますが、食品からも積極的に摂取するのが推奨される準必須アミノ酸に分類されています。
アルギニンが含まれる野菜類として有名な大豆やニンニクには敵いませんが、ごぼうも加食部100gあたり320㎎ものアルギニンが含まれています。
アルギニンは、疲労回復を謳う栄養ドリンク類にも配合されているように、運動したときに分泌されるアンモニアの増加を抑える働きがあります。
ごぼうの皮に含まれるポリフェノールの抗酸化作用
ごぼうといえば、これまで紹介してきたとおり食物繊維が豊富なイメージありますが、ごぼうの皮に含まれるポリフェノールの一種である「クロロゲン酸」という栄養素が見逃せません。
クロロゲン酸はコーヒーにも豊富に含まれていて、その量はカフェインよりも多く、コーヒー独特の褐色や苦み、香りの元にもなっている成分です。
クロロゲン酸が持つ抗酸化作用には、がんや糖尿病、動脈硬化などの予防にも効果が期待されています。
ごぼうの皮により多く含まれ、それは実の部分の2倍にも。ほうれん草と比べると3倍以上にもなります。
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あく抜きしない方が風味が良くおいしい!
ごぼうは切るとすぐに黒く変色しますし、調理中のあくも多く、苦みや臭みを取り除くために下処理であく抜きするのが一般的な考えかもしれませんが、必ずしもあく抜きしないといけないわけではありません。
ここは「あく抜き不要」推しです。
あく抜きによって逃げてしまうのは、先に紹介した水溶性食物繊維やアルギニン、ポリフェノールなどの栄養成分だけでありません。
あく抜きすることで、ごぼうの本来の、風味やおいしさまでも逃がしてしまいます。
事実、あく抜きしてから調理したきんぴらごぼうより、あく抜きしないで調理したきんぴらごぼうの方がおいしかったという比較データがあるほどです。
ごぼう独特の香ばしさや香りは、皮に近い部分に強く感じられるもの。
変色など気にならなければ、間違いなくごぼうはあく抜き不要です。泥を落とし、適度に皮を剥いてそのまま調理に用いてしまいましょう。
ごぼうをあく抜きしないと?
たしかに、調理中にあくが出るごぼうではありますが、カラダに有害な物質など一切含まれていません。
むしろ、あく抜きすることでごぼうに含まれる栄養素やその効果が失われるデメリットの方が大きいことから、昨今は「あく抜き不要派」が増えています。
あく抜きしないと黒く見た目が悪くなる?
ごぼうはあく抜きが必要とされる理由は、プロの料理人があく抜きをする姿が正しいと、真似ていることも1つだと考えられます。
プロの料理人は、味はもちろん、見た目もきれいに仕上げることも重要な仕事です。ごぼうはあく抜きをしないで調理すると、時間が経過するごとに黒く変色してしまうのです。
ごぼうが黒く変色する原因は、先に紹介したポロフェノールの一種「クロロゲン酸」によるもの。
ごぼうに元々含まれる酸化酵素の働で、切り口からどんどん酸化がすすみ黒ずんでいくのです。
ごぼうをあく抜きする最大の理由が料理の見た目だとすれば、家庭では栄養重視で「あく抜き不要」でいいのはないでしょうか。
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ごぼうの栄養・風味を逃さない下処理方法
ごぼうといえば、食物繊維が豊富なイメージが強いですが、注目すべきは、皮のまわりに多く含まれるポリフェノールの一種「クロロゲン酸」という栄養素。
がんや糖尿病、動脈硬化などの予防にも効果が期待されるクロロゲン酸を効果的に摂取するには、是非ごぼうは皮ごと食べましょう。
ごぼうの下処理は表面の泥を洗い流せば十分!
ごぼうの下処理で、皮を包丁の背などで剥いて、ささがきなどに切ったら水(酢水)に浸けてあく抜きしてから調理するという方が多いでしょう。
ごぼうをあく抜きすると水が茶色くなりますが、それこそポリフェノール・クロロゲン酸が逃げてしまっている証拠です。
クロロゲン酸を最大限に摂取するに、まずは店頭で「泥付きごぼう」を選びましょう。
洗いすぎたり皮を剥きすぎれば、ごぼうの栄養や風味、おいしさをは損なわれてしまいます。
ここでは是非ともごぼうは皮ごと食べて欲しく、下処理は皮の表面についた泥をたわしなどで洗い流せば十分です。
皮つきのまま、さきがけなどに切ったらあく抜きせずにそのまま調理していきます。
皮つきごぼうの下茹では電子レンジで!
調理でごぼうを下茹でするときも、電子レンジを使うのがおすすめ。
例えばきんぴらごぼうを作るときに、普通はそのまま炒め煮しますが、皮ごと5㎝ぐらいの長さに切ったごぼうを500Wの電子レンジで40秒加熱します。
電子レンジで加熱したあと細かく切ることで、クロロゲン酸の抗酸化作用などごぼうから得られる栄養やその効果を失うことなく、ごぼう本来の風味も残して調理することができます。
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ごぼうを念入りにあく抜きする下処理方法・手順!
ごぼうをあく抜きするのは、料理の見た目をよくする料理人の仕事を真似したことが主な理由であれば、料理の見た目を良くすることが主な理由となるので、家庭で食べる場合は、栄養面を重視してあく抜き不要でいいと思います。
とはいえ、お節料理や晴れの日の食事など、ここぞという料理では見た目の綺麗さも大切にしたいことでしょう。
ここからは改めて、ごぼうをしっかりあく抜きする場合の下処理方法・手順を確認していきます。
ごぼうの下処理方法・あく抜きの手順!
1.たわしなどで軽くごぼうの泥を洗い流す
2.包丁の背でごぼうの皮をこそげ落とすように剥く
3.ささがきや千切り、乱切りなど料理に合わせてごぼうを切る
4.水を入れたボウルに小さじ1杯の酢を入れる
5.切ったごぼうを酢水に浸けて10分おく
あく抜きするときは、必ず酢水にしましょう。単なる水や塩水では酸化酵素の働きを止めることができないのです。
まとめ
一般的に、ごぼうは下処理であく抜きするのが常識のように思われていますが、実はそれは見た目をよくするのが目的で、プロの料理人の仕事を真似したことが主な理由です。
ごぼうには、カラダに有害な物質など一切含まれていません。
逆に、整腸作用がある「イヌリン」と呼ばれる水溶性食物繊維や、抗酸化作用が期待されるポリフェノールの「クロロゲン酸」などの栄養素が失われるデメリットの方が大きいのです。
家庭料理で見栄えに拘る必要がなければ、ごぼうはあく抜きする必要はありません。
ごぼうの下処理は、皮の表面についた泥をたわしなどで洗い流せば十分です。
ごぼう独特の香ばしさや香りは、皮に近い部分に強く感じられるもの。
とくに、クロロゲン酸は皮のまわりに多く含まれています。皮つきのまま、さきがけなどに切ったらあく抜きせずにそのまま調理してみてください。
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