その昔、キラキラと光るきれいな「イルミネーション」は、クリスマス気分を盛り上げるためのものという感じでした。
近年は、郊外の商業施設やアミューズメントパークなどでは一年中イルミネーションが施されていたりしますが、寒さが増す冬の街に一斉にイルミネーションが輝きはじめると、やはり心が踊らされますよね。
どうやら私たちには、「イルミネーション=冬の風物詩」というイメージがすっかり定着しているようです。
街の街路樹やショッピングモールがイルミネーションで彩られるのも素敵ですが、(一社)夜景観光コンベンション・ビューローが「日本三大イルミネーション」として認定する
・あしかがフラワーパーク:光の花の庭
・ハウステンボス:光の王国
・さっぽろホワイトイルミネーション
などを中心に、各地のイルミネーションスポットの幻想的な光の演出は、まさに「冬のデート」の雰囲気作りにピッタリです。
イルミネーションに使われる電飾が、旧来の「電球」から消費電力が少なく色のバリエーションに富んだ「LED」に変ったことも、各地のイルミネーションスポットの規模が年々大きくなっている大きな理由の1つでしょう。
世界最大規模となるハウステンボスの「光の王国」の電飾数は、じつに「1300万球」にもなるのだとか。
・イルミネーションはなぜ冬に多い?
・きれいに見える科学的根拠と本当の理由とは?
・イルミネーションから受ける心理的効果とは?
今回は、これらイルミネーションと冬の関係、心理的効果を中心に探っていきたいと思います。
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イルミネーションはなぜ冬に多い?!きれいな理由は?!
日本初のイルミネーションスポットとされる、「さっぽろホワイトイルミネーション」。
2019年シーズンの、その電飾数は「81万個」と発表されていますが、その歴史は1981年(昭和56年)12月、札幌大通2丁目広場に据えられた「シンボルオブジェ」に取り付けられたわずか「1048個」の電球からはじまりました。
ニューヨークのクリスマスツリーをアイデアにした1本のイルミネーションは白い雪景色の街によく映え、予想をはるかに超えるホワイトイルミネーションが誕生したのです。
それは、白い雪と光の関係だけではありません。
冬にイルミネーションがきれいに見えるのは、科学的な根拠に裏付けされた理由があるのです。
冬は日没時間が早いから!
イルミネーションが冬に多い理由の1つとして、「日没時間が早い」ことがあげられます。
そもそも、イルミネーションは夜、周囲が暗くなってはじめて放つ光がきれいに見えるもの。
日没が遅い夏のあいだは、イルミネーションを楽しむために与えられた時間が短く、ゆっくり堪能できません。
その点、冬は日没が早く、夕方5時ともなれば辺りは暗くなります。
仕事帰りの時間帯からでも、きれいなイルミネーションを楽しむことができますものね。
冬は空気が澄んでいるから!
冬は1年の中で、一番空気が澄んだ季節です。
水蒸気の粒子が少なくなる乾燥した空気は、光がまっすぐ飛ぶことで、イルミネーションがよりきれいに見えるのです。
冬になると夜空の星や遠くの富士山が、他の季節よりきれいに見えるのも同じ理由です。
落葉した冬の樹木の方が電球を装飾しやすい!
イルミネーションは、クリスマスツリーをイメージしたような屋外の樹木へ装飾されていることが多いですよね。
イルミネーションの装飾がLEDが主流となった現代では、電球の熱が樹木へ与えるダメージを考慮する必要は無いに等しく、故に一年中イルミネーションを施している商業施設が増えました。
とはいえ、イルミネーションを施す側からすると、葉っぱが生い茂る夏の季節に、葉っぱをよけながら電球を巻き付けていく作業も大変です。
落葉した冬の樹木の方が、イルミネーションを施す作業もしやすくなるだけでなく、葉っぱがない方が光が遮られることなくきれいに見えるのです。
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イルミネーションが冬に多い本当の理由は?!
イルミネーションが冬に多い理由は、きれいに見える科学的根拠よりも「商業戦略」の要素の方が「本当の理由」なのかもしれません。
冬の集客力アップに期待して!?
日本初のイルミネーションスポットとされる「さっぽろホワイトイルミネーション」も、夏の観光が主流であった札幌を「四季折々」通年観光の街とする大きな課題を具現化したものでした。
他の季節よりも外出する機会が減る冬に、なんとか集客アップに繋がる施策はないものかと各商業施設が考えるのは当然なこと。
イルミネーションが話題となれば、訪れるお客様が増えます。
たとえイルミネーションを見るのが当初の目的でも、その序にショッピングや飲食を楽しんでもらえる機会が多くなることが期待されてのものなのです。
冬の防犯対策にイルミネーションが一役!
冬は日没が早いからこそ、イルミネーションがきれいに見えるのですが、街路樹にイルミネーションが装飾されている明るい環境は「冬の防犯対策」に一役かっているのかもしれません。
郊外のショッピングモールで、大きな駐車場にまでイルミネーションを施すことは、きれいなだけでなく防犯の意味も含まれているようです。
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イルミネーションの心理的効果とは?
イルミネーションがキレイに見えるのは、先に紹介した科学的根拠や商業戦略だけなく、心理的効果も大きく影響してきます。
華やかな気持ちになる!
冬の澄んだ空気とあいまって、イルミネーションは見ているだけで、華やかな気持ちにさせてくれます。
それぞれのご家庭で飾られているイルミネーションを見ると、思わず目が惹かれ「華やかなお家だな」「幸せそうだな」なんて勝手な想像をしてしまいます(笑)。
安心効果!
先の「本当の理由」で、イルミネーションが「冬の防犯対策」に一役かっていると紹介したように、明るい場所の方が安心するのが人の心理です。
はじめて火を使った大昔から、人は明るさに安心を求めるのでしょう。
ラブラブ度が上がる同調効果!
イルミネーションには、周りと同じことをしたいという「同調効果」が働きます。
たとえば、話題のイルミネーションスポットは幻想的な世界であり、それを感じるために訪れたカップルが周りにも大勢います。
イルミネーションを見に来ているカップルは、みな「ラブラブ」に違いない。私たちも同じでありたい!。
「きれい!」
「ホント、きれいだね!」
と互いに「同じ気持ち」になることで、ラブラブ度が上がるのです。
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まとめ
今回は「イルミネーションはなぜ冬に多いのか?」をメインテーマに、冬のイルミネーションがきれいに見える理由を、「科学的根拠」と「本当の理由」にわけて探ってみました。
「科学的根拠」としては
・冬は日没時間が早い
・冬は空気が澄んでいる
・冬の樹木の方が電球を装飾しやすい
「本当の理由」としては
・冬の集客力アップに期待して
・冬の防犯対策に一役
そこに、華やかさや安心感、ラブラブ度を高める同調効果など、イルミネーションから受ける「心理的効果」が加わります。
たとえば70本の街路樹にイルミネーションを施すとなると、約10万球の電飾が必要となり、費用の目安は1000万円といわれます。
ハウステンボスの「光の王国」の電飾数は、じつに1300万球!。では、その費用はとなると…(うわっ!)
客足の落ちる冬の季節に、なんとか集客アップ効果をと装飾されたイルミネーションには、郊外の商業施設の切実な思いが詰まったものだったんですね。
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