近年、とみに自然災害がパワーアップしている感があります。
今年も台風や低気圧によって甚大なる被害が広範囲に発生しましたが、被害をもたらした風と雨は、いずれも半端ないものでした。
科学が発達して、より正確な予想ができる時代になりながらも、多くの被害が出てしまうのはとても残念です。
そこで今回は、自然の驚異である「風」、なかでも「猛烈な風」と表現される「最大風速50メートル」に焦点をあてながらその被害の目安と、気象用語である最大風速と最大瞬間風速の違いなどを織りまぜながら、まとめ紹介していきたいと思います。
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最大風速とは?
ご存じのように、風は強くなったり弱くなったりしながら吹いています。
そう、風の速さは刻々と変化してるんですよね。
このような、風速の絶え間ない小刻みな変化のことを「風の息」というのですが、この「風の息」を計測して表記されるのが「風速」です。
風速には、「平均風速」や「瞬間風速」など、風速を求める時間の幅(間隔)によっていろいろな表し方があります。
そんな風速のなかで、特に私たちが生活していく上で、注意していただきたいのが「最大風速」といわれる言葉です。
最大風速とは、10分間の平均風速の最大値を言います。
通常、天気予報などで「風速○メートル」という場合、10分間の平均風速を指しますが、風が強くなる場合が想定される場合、予想される最大の平均風速として「最大風速」という言葉が使われます。
例えば、
1. ○年×月△日の最大風速は…
2. ××時までの最大風速は…
3.台風の通過に伴う、○○地方の最大風速は…
というような感じですね。
ところで、風速が強くなればなるほど、私たちの生活にもたらされる被害が大きくなる確率が高くなります。
そのため、各種さまざまな防災気象情報には、「最大風速」に加え「最大瞬間風速」が併用され同時に発表されています。
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最大風速と最大瞬間風速との違いとは?!
それでは、「最大瞬間風速」はどういうものなのでしょうか。
最大瞬間風速とは、「瞬間風速」の最大値を表しています。
例えば12時50分から13時00分までの10分間に計測された風速の変化を見た場合、その間で1番風速が小さい時に2.4m/s、1番大きい時が25.7m/sの風が吹いているとします。
この10分間で吹く、瞬間ごと(3秒毎)の風を「瞬間風速」といいます。
最大瞬間風速とは、この瞬間風速の中での「最大値」となる数値を指したものなのです。
最大風速からみると、最大瞬間風速はその1.5倍ほどになるといわれています。
さらに、大気の状態や地形の影響などで「3倍を超える」こともありますので、注意しなければなりませんね。
そのため気象庁では、指標となる「強い風」や「非常に強い風」以上の風が吹くと予想される場合には、「強風注意報」や「暴風警報」を発表して警戒を呼びかけているのです。
最大風速50メートルってどれくらいの風?!
ところで、台風情報などで見聞きする「最大風速50メートル」とは、どれくらいの風をいうのでしょうか?。
私が調べたところ、最大風速50メートルとは1945年(昭和20年)の「枕崎台風」級のようです。
ここでは、枕崎台風を例にしながら「最大風速50メートル」の特徴についてまとめてみましょう。
戦後間もない日本にダメージの追い打ちをかけた枕崎台風!
「枕崎台風」とは、1945年(昭和20年)9月17日14時頃に、鹿児島県の枕崎市付近に上陸して日本を縦断した台風16号をいいます。
この枕崎台風は、最低気圧916hPa、中心付近の最大風速は41~51.3m/s、最大瞬間風速も62.7~75.5m/sを記録したものでした。
枕崎台風の被害の内訳としては、
・死者:2,473人
・行方不明者:1,283人
・負傷者:2,452人
・住家屋の倒壊等の被害:
89,839棟
・住家屋の浸水被害:
273,888棟
この枕崎台風の被害の大きな特徴は、終戦直後であったことから、とくに強風による「バラック家屋」の崩壊が相次いだことのようです。
さらに、臨海部の低地は高潮に襲われ、浸水など家屋の被害はより広範囲にひろがりました。
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最大風速50メートルの被害の目安はどれくらい?
風速が大きくなればなるほど、気になるのが「風による被害」です。
風の強さを表す言葉には、最大風速や最大瞬間風速という予報用語のほかに、
・やや強い風
・強い風
・非常に強い風
・猛烈な風
というものがあります。
この表現を使うと、最大風速50メートルの場合は「猛烈な風」に属します。
本来「猛烈な風」とは、風速30メートル以上を指す言葉。
つまり、それ以上となる「最大風速50メートル」となれば「想像を絶する」というイメージが当てはまる猛烈な風なわけです。
それでは、最大風速50メートルの風によってもたらされる被害の目安とは、どれくらいのものと考えればよいのでしょうか。
気象庁の資料等を参考にまとめてみましょう。
1.人への影響
・戸外での活動は極めて危険!
2.屋外・樹木の様子
・多くの樹木が倒れる!
・電柱や電灯が倒れる!
・ブロック塀が倒壊する!
3.走行中の車
・走行中のトラックが横転する!
4.建造物
・外装材が広範囲にわたり飛散し下地が露出する!
いかがですか?、まさに恐怖でしかありませんよね。
最大風速50メートルとは、人間は外で活動ができず、命を守る行動をとらなければならない状況といえます。
近年とくに、「風台風」に代表される風被害が多く発生していますので十分な注意が必要となりますが、その心構えとは如何なるものでしょう。
最大風速50メートルの予報がでたとき!事前の心構えは?
今年、日本を襲った台風が上陸や接近する際には、内閣府政府広報オンラインからも「風が強まる前に家の対策を」と呼びかけがありました。
改めて、見て見ましょう。
1.雨戸やシャッターがきちんと閉まるかを点検・修理する。
2.窓に、ひび割れやがたつきがないかを確認・修理する。
3.窓に雨戸やシャッターがない場合、割れた際のガラス飛散防止のためにカーテンを閉めたり、窓に飛散防止フィルムを貼る。
4雨どいに、枯れ葉や砂などが詰まっていないかどうかチェックする。
5.屋根瓦やトタンの状態をチェックして、必要なら修理する。
6.テレビアンテナが固定されているかチェックする。
7.物干し竿は下に下ろしておく。
8.庭木をロープや支えなどで固定する。
9.強風で飛ばされそうな植木鉢は家の中へ取り込む。
10.プロパンガスが固定されているか確認する。
また、風速40m/s以上の暴風予想がでた場合は、「長期停電のための対策」が必要です。
最大風速50メートルの風が吹いたときの心構えは?
先に紹介した通り、最大風速50メートルになると戸外での活動は非常に危険です。
いよいよ、最大風速50メートルと予想される台風が上陸・接近した場合、外出は控え自宅にとどまり、外出先では屋内に避難することが必須です。
ちなみに、木造家屋よりも鉄筋の建物など頑丈な建物がより安全といわれています。
もしも、避難警告や避難指示が出た場合などは、早めに近隣の避難場所等に移動することが望ましいです。
まとめ
過日お昼の情報番組を見ていたら、「台風の被害や今後の対策」について専門家からの意見を聞くというコーナーがありました。
その番組で紹介された専門家の先生とは、片田敏孝先生(東京大学大学院情報学環 特任教授・災害情報学会会長)。
片田先生の提唱している「避難三原則」とは、
・想定にとらわれるな
・その状況下において最善を尽くせ
・率先避難者たれ
猛烈な風である「風速50メートル」の風の脅威は、私たち人間がどうこうできるものではありません。
「温暖化」「気候変動」との言葉が叫ばれている現代ですので、「○年に1度」なんて言葉も少しずつ通用しなくなっている感じがします。
「命を守るために避難三原則に基づいて行動すること」
これが自然災害に対する、私たち1人ひとりに課せられた重要ポイントなのではないでしょうか。
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