秋~冬になると、いろいろなお芋がお店に並ぶようになり、それを見るたび季節の移ろいを感じさせられますね。
我が家も、毎年この時期になるとお芋を使った料理を作って美味しくいただいています。
なかでも、年末年始の時期に人気が出てくるお芋が、粘り気と独特の食感をもつ「長芋」や「山芋」。
長芋や山芋は、他のお芋と違い「生で食べられる」特徴をもつ珍しい品種で、熱々のご飯に「とろろ」をかけて食べる「とろろご飯」には、ホント幸せを感じさせられますよね。
ところで、この「長芋」と「山芋」は似ているようで、ちょっとした違いがあるのをご存知でしたか?。
「とろろ」に向いている種類はどちらでしょう?。
今回は「呼び方」に違いがあっても、同じお芋と思われがちな「長芋と山芋の違い」を、食感や栄養、カロリーなどの面から探りながら、「とろろに向いている種類」はどちらなのかを含めて見ていきましょう。
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長芋と山芋の違いとは?!
気になるこの「長芋」と「山芋」の違い。
分類上は同じ仲間のお芋になるようですが、性質や味、食感など細かく比較してみると、かなりの違いがみられます。
長芋と山芋の「分類上」の違いは?
私たちが、スーパーなどで「長芋」や「山芋」と区別して呼んでいるお芋の種類に、どんな違いがあるのでしょう。
分類上で比較すると…
長芋とは?
ヤマノイモ科ヤマノイモ属のつる性多年草。または、その肥大した担根体の通称である。漢名の山薬(さんやく)、薯蕷(しょよ)とも呼ばれる。
長芋・つくね芋・いちょう芋などの品種群がある。
山の芋の名で扱われる事があるが、種としての「ヤマノイモ(自然薯)」と混同してはならない。
山芋とは?
ヤマノイモ科ヤマノイモ属のつる性多年草。または、この植物の芋として発達した担根体のこと。
日本原産、粘性が非常に高い。ジネンジョウ(自然生)、ジネンジョ(自然薯)、ヤマイモ(山芋)とも呼ぶ。
もうお気づきですね。
そう、長芋と長芋は、分類上「科・属」まではまったく同じなんです。
長芋と山芋は、大きくみると「同じ仲間」のお芋だということがわかります。
しかし、長芋と山芋は「科・属」の下「種」の分類階級で分かれ、遺伝子レベルでも違う種類のお芋であるといえます。
山芋分類である「ヤマノイモ科・ヤマノイモ属」をさらに分けると、
・ジネンジョ(自然薯)
・ダイショ
・ヤマノイモ
の3種類に大別されます。
長芋は、この3つめの「ヤマノイモ」の種類に属しています。
また、長芋は中国などから渡ってきた外来種という説が多いことに対し、山芋は日本原産といわれています。
そこでここからは、その代表格である自然薯(ジネンジョ)を「山芋」という言葉で統一して、粘りや味、栄養やカロリーなど、長芋と山芋の違いを比較してみましょう。
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長芋と山芋の「粘り」の違いは?食感は?
長芋と山芋を比較したとき、誰もがわかる決定的な違いは「粘り」です。
兎に角、山芋(自然薯)の粘りは凄い。
擦ったお芋が、そのまま箸で持ち上げられるほどです!。
一方の長芋は、水分が多く含まれていることから山芋と比べて粘りが少なく、擦った感じもきめが粗くサラサラした感じ。
また、食感は、長芋も山芋も、擦らずに生で食べてみると「サクサク」感があります。
味については、どちらも「たんぱく」と言えるでしょう。
逆にいえば、長芋も山芋も、いろいろ味付けをして食べる楽しみがあるということです。
長芋と山芋の栄養成分やカロリーの違いは?
長芋の場合の栄養成分とカロリー
長芋のカロリーは、100gあたり65kcal。
含まれる代表的な栄養成分は、
・カリウム
・パントテン酸
・銅
・ビタミンB1
・モリブデン
山芋(自然薯)の栄養成分とカロリー
山芋(自然薯)のカロリーは、100gあたり121kcal。
含まれる代表的な栄養成分は、
・ビタミンE
・カリウム
・銅
・パントテン酸
・ビタミンC
このように、含まれる栄養成分に若干の違いが見られますが、栄養の効能にはさほど違いはありません。
長芋・山芋どちらにも、「アミラーゼ」といわれるデンプンを分解する酵素が含まれていて消化吸収を促進しますし、その粘性物質は「滋養強壮」に役立つとされています。
また、長芋や山芋には食物繊維の他に「レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)」が多く含まれているので、胃腸の調子を整える働きが期待されます。
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長芋と山芋!とろろに向いている種類はどっち?
前述したように、長芋と山芋を擦ってみるとそれぞれお芋の特徴がありますので、とろろにする場合も「長芋派」と「山芋派」はもちろん、「ミックス派」と好みが分かれるように思います。
つまり、長芋と山芋を「とろろに向いている種類はどっち?」とは一概に決めきれるものではなく、
・サラサラ感がお好みの人は「長芋」
・しっかり粘りが好きな人は「山芋」
・ほどほどの粘りが好みなら「ミックス」
のように、長芋と山芋を使い分けるのがいいのでしょう。
長芋を使った「とろろ」の作り方
1.まず、長芋を擦ります。
すり鉢を使って擦るのがベストですが、すり鉢がご家庭にない場合には、大根おろしを作るときに使うような簡易おろし器を使ってもOK。
できるだけ、「目の細かい」モノを選ぶのがポイントです。
2.粘り気はありますが、サラサラ感があるので、そのまま味つけをしてもOKです。
3.味付けは、しょうゆ・みりん・酒・だし汁などお好みで。
4.トロトロ感があるとろろができます。
5.長芋はアクの強いお芋なので、白いとろろを作りたい場合は、「お酢」を数滴混ぜるとキレイになりますよ。
山芋を使った「とろろ」の作り方
1.まず、山芋を擦ります。
すり鉢や簡易おろし器を使うポイントは、長芋と一緒。
2.擦ってみると、擦ったお芋が持ち上がるほどの強い粘り気が出ますので、芋の量を考えて擦ってください。
※この時点ではトロトロ感はありません。
3.しょうゆ・みりん・酒・だし汁などで、お好みの硬さに薄めます。
長芋と山芋を使った「ミックスとろろ」の作り方(我が家風)
我が家では、長芋と山芋を混ぜて「ミックスとろろ」を作ります。
その比率は、長芋4:山芋6だったり、長芋3:山芋7だったりと、お芋の量に応じて変えています。
擦り方は一緒。そこに、味付けしただし汁と卵をいれて完成です。
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健康のために「とろろ」を食卓に!
現在では、お馴染みのとろろご飯やとろろ蕎麦、お好み焼きやお饅頭以外にも、とろろを使った料理がたくさん紹介されています。
カラダにいい「とろろ」です。健康のためにも、ぜひ日頃の食卓のメニューに加えて、長芋や山芋の栄養価をしっかりとりたいものです。
近頃は、長芋農家や山芋農家のご努力によって、長芋だけでなく山芋の値段も少しづつリーズナブルになってきています。
とはいえ、もし「山芋は高くて手が出ないけど、長芋だと粘り気が物足りない」と思われる方は、比較的手に入りやすく粘り気の強さが特徴の「いちょう芋」を選ばれることをおすすめします。
それでは、本当の山芋の粘りとはどんなモノか?!。
チョッと贅沢な気もしなくもないですが、「百聞は一見にしかず」です。
まとめ
長芋や山芋は、他のお芋の種類と違って、生で食することができる珍しい品種です。
とろろを作る場合「こういうお芋を使わねばならない」という決まりはありません。
繰り返しになりますが、とろろを何に使うかを決めてお芋選びをして、その特徴にあった作り方をすることが失敗しないコツといえそうですね。
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