みなさんは「8月11日は何の日?」と尋ねられたら、咄嗟に答えられますか?。
答えは「山の日」という国民の祝日ですが、山の日がいつから祝日になったのか覚えていますでしょうか?。50歳をすぎた筆者にとって山の日は実に馴染みが薄い祝日の1つです。
8月11日といえば、多くの企業がお盆休み(夏季長期休暇)となる直前です。
もともと夏休み真っ盛りな子供たちにとっては、あまり意味をなさない祝日かもしれませんが、お盆休み直前という点に何やら大人の事情がその意味・由来となったことが想像されます。
日々出勤して働く会社員の身としては、たとえ意味が後から取ってつけたような祝日だとしても、休日が増えるのはありがたい限り。
気になる点はこの山の日、近年に祝日になったわりには基本8月11日に固定されていて、所謂ハッピーマンデー制度が適用されていないことです。
おそらく休日を増やし、観光やレジャーが盛んになることでの経済効果を目的としているにも係わらずです。ライバル的祝日の海の日は7月第3月曜日ですから、なおさら不思議。
・山の日はいつから祝日になったのか?
・山の日が8月11日になった意味・由来
・山の日がハッピーマンデー制度が適用されない理由!
今回は、これらをテーマに探っていきたいと思います。山の日とは、なにやら大人の事情が満載な祝日のようです。
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山の日はいつからある祝日なのか?
そもそも、山の日という祝日に馴染みがない方も多いのも無理がないかもしれません。
国民の祝日として山の日が制定されたのは2014年(平成26年)で、実際に施行されカレンダーで赤い日(休日)となったのは2016年(平成28年)のこと。
山の日は、施行されてから歴史の浅い祝日なのです。
山の日とはどんな意味をもつ祝日?
たとえばWikipediaで「山の日」と検索しても…
祝日法(昭和23年7月20日法律第178号)2条では、「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」ことを趣旨としているが、山に関する特別な出来事などの明確な由来があるわけではない。
という感じであり、これほど過去の出来事と関連づけられる意味がない祝日というのは例がありません。
山と海というライバル的な祝日の「海の日」でさえ、明治天皇が1876年(明治9年)に航海船・明治丸で東北地方から北海道まで航海した後、横浜へ無事帰着したのが7月20日だったことに由来しています。
山の日が祝日となった由来は?
日本の国土の約6~7割は山地であり、その周囲は海で囲まれているという環境から、私たち日本人は山や海から得られる恵みに感謝しながら生活してきました。
山の日より早く1995年(平成7年)に「海の日」が国民の祝日に制定されるないなや、作曲家の船村徹氏による「海の日があるのに山の日がないのはおかしい」という提言を機に、山梨県をはじめとした府県独自の「山の日」が誕生し、2002年の国際山岳年に山の日を制定する構想が本格化していきます。
2010年には日本山岳協会を中心とする山岳5団体によって「山の日制定協議会」が設立され、2013年には国会議員の超党派で「山の日制定議員連盟」が発足されるなど、山の日を国民の祝日にする運動が広がっていきます。
翌年2014年に可決・成立させた「国民の祝日に関するう法律の一部を改正する法律」が2016年より施行され、同年の8月11日より山の日が国民の祝日となったのです。
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山の日が8月11日に制定された理由!
8月11日が山の日として国民の祝日に制定される前、1年(1月~12月)の中で祝日がないのは6月と8月だけでした。
国民の祝日を増やすことで、観光やレジャーが盛んになることでの経済効果が見込まれます。
当初は祝日のない6月にする案や、7月第3月曜日の海の日の翌日にして土日を含め4連休とする案などがありましたが、多く企業が設定している8月のお盆休みに近い日とすることで連休が長期化することを期待し議論されていきます。
では、山の日はなぜ8月11日となったのでしょう。
山の日はなぜ8月11日になったのか?
山の日という新しい国民の祝日を制定するにあたり、先にも紹介したように、それまで祝日のない6月と8月、さらに7月の海の日の翌日も含め提案されていきます。
・山開きの日となることが多い6月第1日曜日
・山歩きの絶好シーズンを迎える6月上旬
・海の日の翌日となる7月第3火曜日
・お盆休み前日の8月12日
なかでも、多くの企業がお盆休みとする8月13日~15日の前日となる8月12日を山の日とすれば4連休となり、観光やレジャーによる経済効果が見込めると考えるのは当然でした。
なのに、なぜ山の日は最終的に8月11日に制定されたのでしょう。
山の日が8月12日にならなかった理由
8月12日を山の日とすれば多くの企業のお盆休みは長くなる、しかし、山の日が8月12日にならなかった大きな理由がありました。
お若い方だとご存じないかもしれませんが、8月12日は「日光ジャンボ機墜落事故」の日。
1985年(昭和60年)の8月12日に、羽田空港発の日本航空123便が群馬県・御巣鷹山の山腹へ墜落し、500名以上の方々が亡くなられました。
8月に山の日となる祝日を新しく制定するにあたり、折角ならお盆休みの前日にと考えたものの、多くの犠牲者を出した日光ジャンボ機墜落事故の8月12日を祝日とするのは如何なものか…との意見も多く、その前日の8月11日へとなったのです。
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山の日はなぜハッピーマンデーにならなかったのか?
ハッピーマンデーとは、公務員や中規模以上の企業を中心に週休2日制が浸透していることから、月曜日を国民の祝日とすることで土日につながる3連休となり、余暇を過ごし方が向上することを趣旨とし制定された制度です。
2021年現在のハッピーマンデー
成人の日 :1月第2月曜日
海の日 :7月第3月曜日
敬老の日 :9月第3月曜日
スポーツの日:10月第2月曜日
多くの方に観光やレジャーを楽しんでもらい、その経済効果を狙ったハッピーマンデー制度が生まれた後、最も新しく制定された山の日であるのに、なぜハッピーマンデー制度が適用されなかったのでしょう。
それには、大きくわけて2つの理由があります。
日光ジャンボ機墜落事故(8月12日)がハッピーマンデーになってしまうから
そもそも「お盆休みを1日長く」との思いで山の日は8月12日という提案があったことに対し、500名以上もの方々が亡くなられた日航ジャンボ機墜落事故の当日ということで見送られ、その前日となる8月11日となった経緯があります。
例えば、ハッピーマンデー制度により「8月第2月曜日」といった形に固定してしまうと、何年かに1度日航ジャンボ機墜落事故の犠牲者の命日となる8月12日が「ハッピー」な日になってしまいかねないのです。
8月11日とすることでお盆休みが長くなる企業が増えるから?
中小企業は、一般的にお盆休みを8月13日~15日の3連休に設定されているケースが多かったと思います。
山の日を制定するにあたり、当初の狙いは8月12日とすることで単純に4連休となる目論見でした。
しかし、働き方改革が浸透してきた現在、みなさんのお盆休み事情は如何ですか?。
8月11月が山の日となったことで、これまでのお盆休み(8月13日~15日)に挟まれた12日を有給扱いにして5連休とする企業も増えたのではないでしょうか。
年によっては、7連休~9連休になることもありえますものね。
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2021年の山の日は固定日から変更
当初2020年に開催が予定されていた東京オリンピック・パラリンピックが、コロナ禍により1年延期された2021年。
山の日は8月11日の固定日から、東京オリンピック閉会式当日に合わせて8月8日(日曜日)へと移動され、翌日9日の月曜日が振替休日となることで3連休の形になりました。
2021年の8月の3連休
8月7日(土)
8月8日(日)東京オリンピック閉会式(山の日)
8月9日(月)振替休日
業種によっては、8月7日~8月15日までの9連休の形になった企業も多いのではないでしょうか。
カレンダーによっては、印刷時期に間に合わずに山の日が8月11日のままのものもあるので注意してください。
まとめ
今回は、8月11日の祝日「山の日」について、
・山の日はいつから祝日になったのか?
・なぜ8月11日になったのか?
・山の日はなぜハッピーマンデー制度が適用されていないのか?
などを中心に紹介してきましたが、山の日は「大人の事情」がかなり盛り込まれた祝日なのだと、あらためて感じさせられました。
夏休み真っ盛りの子どもたちには、山の日は殆ど影響のない祝日ですが、私たち会社員にとっては、お盆休みが長くなるありがたい祝日です。
意味はあまりないかも知れませんが、お国だって「休日を増やしてお金を使って欲しい」と制定したに違いない祝日です。
山の日にちなんで、避暑地と呼ばれる高原で過ごすのも素敵ですね。
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