赤やオレンジ、黄色など彩り豊かな「パプリカ」を食材にくわえると、料理がグッと美味しそうに映えますね。
パプリカといえば、2019年には小中学生の5人組ユニット「Foorin」の楽曲「パプリカ」が大ヒットして、日本レコード大賞を受賞するまでになりました。
おかげで、スーパーの野菜コーナーに並ぶパプリカを見掛けるたびに
♪
パプリカ 花が咲いたら 晴れた空に種を蒔こう
ハレルヤ 夢を描いたなら 心遊ばせあなたにとどけ
なんて、思わず歌詞を口ずさんでしまう私です(苦笑)。
ちなみに、作詞・作曲を担当した米津玄師さん本人によるセルフカバー「米津玄師バージョン」も大好きです!。
ところで、カラフルでよく目立つパプリカは色の違いで、味や栄養が違うことをご存知ですか?。
スーパーでは、パプリカの近くに緑色の「ピーマン」が並んでいますし、パプリカと見た目もそっくりな「カラーピーマン」もありますね。
みなさんは、「パプリカとピーマンの違いは何?」と疑問を抱くことはありませんか?。
・パプリカは色で味や栄養が違う?
・カラーピーマンって何なのよ!?
・パプリカとピーマンの違いは?
など、ご一緒に探っていきましょう。
パプリカは、けっして彩りだけの野菜ではありませんよ!。
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パプリカの色の違いは?
サラダはもちろん、炒め物など色々な料理に彩りを与えてくれるパプリカですが、その色は「赤・黄・オレンジ・緑・茶・黒・紫・白」と実に8種類にもなります。
一般によく見かけるのは、「赤・オレンジ・黄」の3色に加え、ピーマンに似た緑色のパプリカでしょうか。
パプリカの色の違いを一言でいうと「成熟度の違い」にあって、パプリカの種類が違うわけではありません。
ご想像のとおり緑色が1番未成熟なもので、同じ苗からなるパプリカも成熟度を増すごとに黄色からオレンジ、赤へと変化していくのです。
成熟度の違いであるパプリカの色は、そのまま値段の違いにも関係します。
一見ピーマンのような緑色のパプリカと、黄色やオレンジ、赤のパプリカの値段に2倍くらい違いがあるのは、収穫までの期間の差(コストの差)に他なりません。
緑のパプリカと完熟した赤いパプリカを比べると、収穫期間はおよそ3週間も違います。
パプリカは色で味が違う?!
サラダはもちろん炒め物など、色々な料理に彩りを与えてくれるパプリカ。
形が似ているピーマンと食べ比べると、パプリカの方が苦味が少なく甘みが感じられるものですが、赤やオレンジなど色が違うパプリカ同士を食べ比べてみても、それぞれ味に違いがあることがわかります。
イメージ的には、より成熟度が高い「赤いパプリカ」が1番甘いのでは?と思われますよね?。
しかし、AISSY株式会社(アイシー)が開発した「味覚センサーレオ」で分析すると、意外な結果になるようです。
パプリカで1番苦い色は?
パプリカを代表する、赤・オレンジ・黄色に緑を加えた4色の味、どの色が1番苦いのでしょう?。
ご想像に違わず「断トツで緑のパプリカが苦い」ので、今回は除外します(苦笑)。
赤・オレンジ・黄色の3色のパプリカを比べてみると…
な・な・なんと!、苦味ランキング1位は「赤パプリカ」でした!(苦笑)。
意外にも、黄色からオレンジ、赤へと成熟が進むにつれドンドン苦味が増していくのです。
ちょっと不思議な感じですが…
断トツで苦いのは「緑パプリカ」なんですが、黄色く成熟すると一旦苦味が薄らぎ、さらにオレンジから赤へと成熟するごとに、再び苦味が増していくんですね。
パプリカで1番甘い色は?
それでは「パプリカで1番甘い色は?」というと、言わずもがな、先の「苦味」の逆の順位になります(苦笑)。
ネット上では、黄色→オレンジ→赤と成熟が進むほど甘味が強くなると紹介されることが多いのですが、「味覚センサーレオ」が判定したランキングは…
やっぱり、甘味ランキング1位は「黄色パプリカ」でした!。
このように彩り豊かなパプリカも、「色によって苦味や甘味に違いがある」ことを改めて紹介しましたが、それが「=1番美味しいパプリカの色」というわけではありませんね。
人によっては、その苦味がたまらなく美味しいと感じるのですから。
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パプリカは色で栄養素・効能が違う?!
パプリカのカロリーは、可食部(食べられる部分)100gあたり約30kcal。同じ緑黄色野菜のピーマンの22Kcal、トマトの19Kcal、ブロッコリーの33Kcalと比べても、けっして高いカロリーではありません。
食物繊維・鉄分のほか、美容効果が期待されるカリウムやビタミン類が豊富に含まれています。
抗酸化ビタミンでアンチエイジング!
美肌や健康なカラダ作りには、細胞の老化の元となる「活性酸素」の働きを抑えるチカラが高い「抗酸化ビタミン」が欠かせません。
パプリカには、「ビタミンエース」と呼ばれるビタミンA(βカロテン)やビタミンC、ビタミンEなど、抗酸化力が高い栄養素が豊富に含まれるのが特徴。
たとえばビタミンCがもつ「肌細胞のコラーゲンの生成」は、血行を促すビタミンEと合わさることで、より抗酸化力がアップするように、抗酸化ビタミン(A・C・E)が全て揃うパプリカは、まさに美容に欠かせない野菜ではないでしょうか。
豊富なカリウムでむくみ防止!
パプリカには、むくみを防ぐ働きをもつ「カリウム」が豊富に含まれています。
カリウムは水溶性で「水に溶け出やすい」ので、野菜スティックやサラダ、人気のスムージーなど生食で食べると効率的に摂取できます。
しかし、パプリカは赤やオレンジ、黄色など色の違いで、含まれる栄養価・効能が異なります。
先に紹介した「味」に続いて、パプリカは色によって栄養価や効能に違いがあることを見ていきましょう。
赤パプリカの栄養素と効能の特徴!
パプリカの代表的な色「赤・オレンジ・黄色」の3色の中では、最も苦味の強い赤パプリカですが、老化防止に効くとされる抗酸化物質の「カプサイシン」を多く含むのが特徴。
カプサイシンとえば「唐辛子の辛みの素」であり、血行・血流をよくし、冷え性の改善にも繋がります。
カラダの余分なコレステロールを下げることから、動脈硬化や心筋梗塞を防ぐ効果も期待されるといわれます。
黄色パプリカの栄養素と効能の特徴!
最も甘味が強いとされる黄色のパプリカの特徴は、「α―カロテン」の含有量です。
生で食べた場合、赤パプリカは0μgに対して、黄色パプリカには71μgも含まれているんです。
α―カロテンは、β―カロテンより抗酸化力が強く、がんや生活習慣病の予防効果も期待されています。
オレンジ色のパプリカの栄養素と効能の特徴!
オレンジ色のパプリカは、赤パプリカと黄色のパプリカに含まれる栄養素がバランスよく含まれます。
特徴としては、「若返りビタミン」呼ばれるビタミンEが豊富に含まれることです。
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パプリカとカラーピーマンの違いは?!
スーパーの野菜売り場には、パプリカと並んで緑のピーマンはもちろん、昨今はやや小振りのパプリカっぽい「カラーピーマン」も一緒に並んでいます。
パプリカとピーマンの違い、さらにカラーピーマンとの違いをあたらめて探っていきましょう!。
パプリカとピーマン、カラーピーマンも同じ仲間?!
みなさんは、パプリカとピーマンの違いは何だと思いますか?。
大きさや果肉の厚み、色の違いのほか値段にも大きな違いのあるパプリカとピーマンですが、植物の分類を比べると、どちらも「ナス目・ナス科・トウガラシ属・トウガラシ」であり、まったく同じ種類だとわかります。
えっ?!、トウガラシ?
そう、パプリカもピーマンもさほど辛くはありませんが、分類上は「唐辛子」の仲間なんです。
私たちがよく食べている一般的なピーマンは、完熟にほど遠いタイミングで収穫されているので緑色をしていますが、そのまま熟成を進ませれば、パプリカ同様に黄色からオレンジ、赤へと色が変化していきます。
そう、これが「カラーピーマン」の正体でした。
そしてパプリカは、この「カラーピーマン」の1種類という、実にややこしい話(苦笑)。
カラーピーマンには、大きく分けると5種類あります。
・パプリカ
・ジャンボピーマン
・トマトピーマン
・小型のカラーピーマン
・くさび型ピーマン
スーパーの野菜売り場で「カラーピーマン」と銘打って並んでいるのは、一般的に小型のカラーピーマンであることが多いと思います。
パプリカとカラーピーマンの違いは、パプリカは大型で果肉が厚いことが特徴で、小型のカラーピーマンは大きさが一般的なピーマンと近いことですね。
パプリカとピーマンの違い!
見た目もそっくりなカラーピーマンとの違いを先に紹介しましたが、元々のパプリカとピーマンの大きな違いといえば…
・大きさ
・形
・果肉の厚さ
・味
果肉が厚く大きいものが「パプリカ」、果肉が薄く細長い形が「ピーマン」で、苦いのが緑のピーマン、甘味があるのがパプリカといったところでしょう。
パプリカとピーマンの歴史や生産地の違い!
ピーマンは誰もが昔から馴染みのある野菜ですが、パプリカはここ十数年前からやっとスーパーでも見かけるようになった、日本では歴史の浅い野菜です。
パプリカは色の違いで「味や栄養素」が違うことを先に紹介しましたが、ここではパプリカとピーマンについて、それぞれの歴史や生産地の違いにスポットを当てていきます。
ピーマン
ピーマンは西洋風なイメージのまま、アメリカ(北米・中南米)を原産とする野菜です。日本には、明治時代頃に入ってきました。
私たち庶民がよく食べるようになったのは、戦後の高度経済成長期と共に、家庭の食卓が西洋化しはじめた昭和30年代以降のこと。
日本国内でも多く栽培され、茨城県・宮城県・高知県などが主な生産地です。
パプリカ
パプリカの輸入が解禁されたのが平成5年ということもあり、私たちの食生活では意外と歴史の浅い西洋野菜の1つです。
輸入解禁当時は、オランダを生産地とする輸入品が多く、オランダ語でピーマンを意味する「パプリカ」との呼ばれ方が浸透していったという説が有力です。
日本国内では、ピーマン同様に茨城県・宮城県を中心に熊本県などで多く生産されています。
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日本ではなぜ苦い緑のピーマンを食べる?!
パプリカもピーマンも、海外から入ってきた西洋野菜。どちらも成熟することで甘味が増していくものなのに、なぜ日本では苦味が強い緑のピーマンが多く流通し、食べられているのでしょう。
ピーマンといえば、今も昔も「子供が嫌いな野菜」ナンバー1です。カラーピーマンだったら、子供たちからも嫌われずにすんだかもしれませんよね?(苦笑)。
日本に緑のピーマンが普及した理由
先に紹介したように、ピーマンが日本に入ってきたのは明治時代ころ。
しかし、当時はピーマン特有の強い香りを嫌う人も多く、思う程普及しなかった野菜であったのも事実です。
私たち庶民の食卓にピーマンが登場するようになったのは、第2次世界大戦後のことでした。
ご存知のとおり、第2次世界大戦後の日本は、物価が10倍以上に跳ね上がるほどの「物不足」。
野菜や肉・魚、生活用品などは、価格の不当に高騰することを防ぐ政策によって価格が抑えられていましたが、深刻な「食糧難」は改善されません。
そこで注目されたのが、ピーマンの生産です。
戦後、多くの野菜類は国政によって自由に売買が叶わない「経済統制」がかけられる中、庶民が好まず「無名」ともいえるピーマンは規制対象から外れていたのです。
ピーマンは、勝手に作って勝手に売っていい野菜だったというわけで、焼け野原の街の「闇市」でピーマンは飛ぶように売れたといわれます。
ピーマンは短期間で大量生産可能な野菜!
戦後の食糧難にピーマンが最適だったのは、ズバリ大量生産が可能だったからです。
ピーマンは苗を植えた後、花が咲けば約2週間で実がなります。
しかも、1本の苗からおよそ40個の実が収穫でき、収穫後もさらに実をつけ続けることから、1本の苗から年間におよそ100個も収穫できるのです。
青物信仰でピーマンは根強い人気野菜に!?
子供のころは嫌いだったピーマンも、大人になると好きな野菜の1つにあげる人もいます。
「良薬口に苦し」といいますが、苦いピーマンを「カラダにいいから」と食べさせられたことが、大人になっても「青物信仰」となって生き続けます。
いつしか「苦味」を美味しく感じるように成長し、ピーマンの肉詰めが堪らなく美味しいと思うわけです。
・苦い青物はカラダにいい
・大人になればわかるから…
そんなこんなで、苦い顔をしながら子供たちはピーマンを食べてきました(苦笑)。
結局、戦後の食糧難の状況下では大量生産が最優先。
・甘く成熟するまで収穫を待てない
・成熟が進むごとに日持ちしなくなく
・赤く完熟させると作が安定せず収穫量が減る
などのデメリットが大きかったことから、日本でピーマンといえば「緑」となったわけです。
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パプリカは生でも加熱しても美味しい!おすすめの食べ方
彩り豊かなパプリカは、生のままスライスしてサラダやマリネに加えれば、見た目も華やかな一品に。
流行りのスムージーでは、色ごとに違う栄養素の特徴が楽しめそうですね。
パプリカは「加熱時間が長いと栄養素が逃げてしまう」ともいわれます。
しかしフォーカスすべき点は、パプリカは「油で炒めるとカロテンの吸収率が高まる」ことでしょう。
サラダ同様、ピザやパスタなどにトッピングすれば華やかさが増すだけでなく、柔らかい苦味がパンチを効かせてくれます。
スープやシチューの具として使えば、長時間煮込んでも溶け出した栄養素を逃がさずそのままいただけますね。
パプリカの調理法別「甘味」の違い!
パプリカの甘味は、調理法でどれほど違いがあるのか?。
この点については、株式会社アタゴが開発したポケット糖度計・濃度計「PALシリーズ」で分析したとても興味深い結果が紹介されています。
・生のまま
・蒸す
・炒める(ソテー)
・グリル(網などを使う直火焼き)
この4種類を用いてパプリカを調理して、その甘味の違いを「糖度計測」で比較した結果、
最も甘味が増す調理法は、直火焼きの「グリル」。生で食べたときと比べて、その甘味は約2倍にも!。
パプリカは、もちろんサラダやマリネ、ピザやパスタなどお洒落な料理もいいですが、パプリカの本当の甘さを味わうなら、オーブントースターで一旦「皮が真っ黒になるまで」焼いてから、焦げた皮をむいて食べるのが一番かもしれません。
まとめ
今回は、「パプリカは色の違いで味や栄養も違うこと」をメインテーマに、パプリカと見た目もそっくりなカラーピーマンや緑のピーマンとの違いを改めて探ってきました。
赤やオレンジ・黄色などのパプリカの彩りの良さは、私たちの食卓を華やかにしてくれます。
パプリカの色の違いは「成熟度」の違い。
昔から私たちに馴染み深い緑色のピーマンも、収穫を遅らせ成熟させることで黄色やオレンジ・赤へと変わり、それこそが近頃人気の「カラーピーマン」となります。
パプリカは色の違いで、味や栄養の違いにも現れます。
完熟の赤パプリカが1番甘いイメージでしたが、緑色のパプリカを除外すると、意外にも、最も成熟が進んだ赤パプリカが1番苦味が強いものでした。
色ごとに違う栄養素の特徴を挙げると、
・赤パプリカは「カプサイシン」
・黄色パプリカは「α―カロテン」
・オレンジパプリカは「ビタミンE」
他の緑黄色野菜と同様、パプリカに含まれるβカロテンやビタミンEは脂溶性の栄養素なので、オリーブオイルやサラダ油などと一緒に摂るとその吸収率が高まります。
加熱時間が長いと、ビタミンCなどの栄養素が逃げてしまうというデメリットもありますが、「甘味」を引き出す調理法は
1位:グリル(直火焼き)
2位:ソテー(炒める)
3位:蒸す
色や調理法でパプリカの味や栄養は異なりますが、あえて赤・オレンジ・黄色など色々なパプリカを食事に取り入れることが、見た目にもカラダにも良いのかもしれませんね!。
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