「土用」と聞けば、多くの方は「土用の丑(うし)の日」を思い浮かべるのではないでしょうか。
さらに、土用の丑の日は「うなぎを食べる日」とインプットされている方も多いかもしれませんね。
> 土用の丑の日にうなぎを食べる意味・由来!うのつく食べ物で夏バテ予防?! <
土用というと他にも、海水浴シーズンで注意したい「土用波」など、なんとなく「夏」をイメージされるかもしれませんが、「節分」と同じように1年に4回、春・夏・秋・冬、季節の変わり目ごとに土用はあるんです。
土用の期間はそれぞれ約18日と長く、その間に例の「丑の日」の他、「間日(まび)」や「土用殺(どようさつ)」などちょっと聞きなれない特別な日があるという感じなんですね。
また土用は季節の変わり目ということもあり、「してはいけない」とされることが多く、過ごし方にも注意が必要な期間だといわれています。
例えば…
・土いじり
・旅行
・引越し
その他、新しいことを始めることも「土用にしてはいけない」禁忌に含まれます。
とはいえ、土いじりをはじめ、新しく始めることって春が多かったりしますし、テレビだって季節の変わり目ごとに新しい番組が始まるでしょう?。
実際問題、「土用の期間は過ごし方に注意が必要」と言われましてもね(苦笑)。
今回は特に、新しく始めることも多い「春の土用」にスポットを当てながら、土用の期間の過ごし方や土いじりなど「してはいけない」とされること、間日や土用殺について探っていきましょう!。
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土用とは?土用の期間とは?
連想ゲームではありませんが、若い方へ「土用とは?」と尋ねれば、「土用=土用の丑の日=うなぎを食べる日!」と返ってくるかもしれません。
おそらく、我が家の息子たちもそう答えるハズです(苦笑)。
土用とは、暦のなかの「雑節(ざっせつ)」の1つです。
雑節(ざっせつ)とは、二十四節気・五節句などの暦日のほかに、季節の移り変りをより適確に掴むために設けられた、特別な暦日のことである。
1年間を24等分に区切った「二十四節気」、たとえば夏至や冬至、春分や秋分、立春・立夏・立秋・立冬などがそれにあたります。「五節句」とは、七草・桃・菖蒲の節句など。
しかし、それだけでは季節の変わり目を表しきれません。
そこで考えだされたのが「雑節」。
季節ごとの農作業の目安や日本独自の行事などが合わさった暦で、有名なものでは節分やお彼岸、茶摘みの八十八夜などなど…。
土用とは、それらと並ぶ雑節の1つなんです。
土用の「土」とは、まさしく「土」のこと。
古代中国からの自然哲学の思想「五行思想(ごぎょうしそう)」では、万物は火・水・木・金・土の5種類の元素からなるのだとか。
んん?、「月と日」はどこへいった?というのはさておき(苦笑)。
春・夏・秋・冬、4つしかない季節にふさわしい五行を当てはめていくと、
春=木 : 草木が芽吹く
夏=火 : 暑い
秋=金 : 収穫
冬=水 : 氷や雪
となるわけですが、余るのが「土」。
かわりに土は、春夏秋冬それぞれ「季節の変わり目」に当てはめられ、それを「土用」というのです。
新たな季節への準備期間といったところでしょうか。
土用の期間とは?
土用とは春・夏・秋・冬、年4回の季節の変わり目にあり、具体的には二十四節気の
立春( 2月4日頃)
立夏( 5月6日頃)
立秋( 8月7日頃)
立冬(11月7日頃)
それぞれ直前の約18日間の期間を指します。
同じ雑節でも、節分や八十八夜のように1日を指すものではなく、お彼岸のように数日間の期間を表します。
土用の丑の日も「の」がつくように、約18日と長い土用の期間中の1日「丑の日」なんです。
ところで、今回のテーマである「春の土用」の期間は?となると、
春の字がつくから「立春」の直前の期間かと思えば、実際には「立夏」の直前約18日間。
およそ4月17日~5月5日頃となります。
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土用の過ごし方は?
土用は、春・夏・秋・冬、季節の変わり目であり、新たな季節への準備期間。
季節の変わり目は、気温の変化などで風邪を引いてしまうことも多く、土用は兎角「体調を崩さぬよう」過ごし方について注意を促される期間でもあります。
・無理をせず
・十分な休養や睡眠をとる
・しっかり食べて栄養を摂る
なにより、気分を「リラックス」させられる時間を設けることも、土用の期間の大切な過ごし方。
九星気学では、土用の期間には「土」の気が多く立ち上がるとされていて、精神的にも不安定になりやすい期間だといわれています。
春なのに…
・元気がない
・やる気が出ない
・だるい
・憂鬱だ
それらはもしや、土の気が多い土用のせいかもしれませんね。
お部屋で流行りのアロマを楽しんだり、観葉植物を置くなどお部屋に緑を増やすのもリラックス効果があるとされています。
緑は自然を象徴する色で、静けさや安心感を演出するのだそうです。
土用に土いじりをしてはいけない?!
土用の過ごし方として、季節の変わり目であり体調を崩さないための注意点や、精神的にリラックスすることが大切であることを紹介しました。
加えて、土用は「してはいけない」ことが多い期間でもあります。
あまり意識しすぎては生活がギクシャクしてしまいかねませんが、新しいことを始めることを避ける、つまり平穏「守り」の姿勢で過ごすのが大切であるということ。
冒頭でも紹介しましたが、土用には
・土いじり
・旅行
・引越し
など、「してはいけない」とされることが沢山あります。
土用は、春・夏・秋・冬、季節の変わり目となる約18日間の期間。
1年の2割、約72日間をも占める土用の「してはけない」ことについて、具体的にみていきましょう。
土用に土いじりはしてはいけない?
そもそも「土用」とは、九星気学で「土」の気が多く立ち上がるとされていてる期間。
この期間にむやみに土を触ることは、土の乱れた気がカラダにも悪い影響があるとさえいわれ、「してはいけない」こととされてきました。
単に「土いじり」といっても、庭に花など植物を植えたり花壇を作るなどのガーデニングから、住宅の基礎工事(穴を掘る・埋める)など、その範囲は幅広いものとなります。
とくに「種まき」の季節である春の土用に、土いじりをしてはいけないなんてね(悩)。
土用に土いじりをしてはいけない理由をさらに探ると、「土公神(どくしん・どこうしん)」という神様の存在が関わってきます。
土公神は陰陽道で土を司る神様で、普段は色々な場所にいるのですが、土用の期間は土の中に宿り「のんびり」過ごされているのだとか。
そんな土用の期間に「土いじり」をすることは、土公神を怒らせてしまうこととなり、その怒りによって様々な災いを引き起こす原因になると考えられてきたのです。
土用でも「間日」なら土いじりをしても大丈夫!?
土用は約18日もの期間があり、その間ずっと「土いじりをしてはいけない」というのは生活が窮屈になってしまうでしょう。
趣味のガーデニングならまだしも、農業や土木、建築業のなど「土」にまつわる仕事をされている方たちには死活問題です。
しかし、知恵の象徴・智慧の菩薩とされる「文殊菩薩(もんじゅぼさつ)」は、土公神を天上に連れ出すことで、土用の期間でも土いじりしてもいい「間日(まび)」を作ってくださっています。
間日は、春・夏・秋・冬、年4回の土用にそれぞれ3日づつ。
・春の土用 : 巳・午・酉の日
・夏の土用 : 卯・辰・申の日
・秋の土用 : 未・酉・亥の日
・冬の土用 : 寅・卯・巳の日
ご存知のとおり、年には十二支が割り当てられていますが、月や日にも十二支は割り当てられいます。
子(ね)・丑(うし)・寅(とら)・卯(う)・辰(たつ)・巳(み)・午(うま)・未(ひつじ)・申(さる)・酉(とり)・戌(いぬ)・亥(い)
1年365日これら十二支が順番に割り当てられているのですが、年と同じく日の十二支も「無限」に循環していくことから、年によって土用の期間に入る干支は変わっていきます。
やや脱線するかもしれませんが、夏の土用に土用の丑の日が2回ある年があるのもこれにちなんでいます。
その年によって例えば春の土用でも入る干支の日にち・回数が変わってくるので、4月何日・5月何日とは決められません。
土いじりをしてもいい「間日」については、毎年チェックしてくださいね。
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土用は旅行や引越しもしてはいけない?!
土用にしていけないことには、土いじりだけでなく、旅行や引越しなど「移動」も挙げられます。
とくに良くないのが、「土用殺」の方位への移動といわれています。
土用殺の方位とは?
「土用殺(どようさつ)」、なんとも物騒な言葉ですが(苦笑)。
そもそも土用は、どの方位も良くない期間なのですが、特に注意が必要な「凶方位」について土用殺と呼ばれています。
土用殺の方位についても、春・夏・秋・冬、それぞれで異なります。
・春の土用 : 南東の方位
・夏の土用 : 南西の方位
・秋の土用 : 北西の方位
・冬の土用 : 北東の方位
先に紹介した間日は、土いじりを「してもいい日」でしたが、土用殺は最も「よくない方位」。
土用となる期間、とくに春の土用は「ゴールデンウィーク」、夏の土用は子供たちの「夏休み」と重なることもあって、旅行など移動を控えるというのは辛いところ。
凶方位となる土用殺の方位を避けることを意識して、旅行の計画をするというのが現実的にはいいかもしれませんね。
どうしても避けられないのが、転勤などで土用殺の方位への引越しを伴う移動でしょう。
土用に土用殺への移動は「良くない」とわかっているだけでも、注意を心掛けた過ごし方となるのではないでしょうか。
また土用の期間の「引越しの裏技」として、もしも早々引越し先(物件)が決まっているなら、土用に入る前に少しだけ荷物を持ち込んでおくというのもアリのようですよ。
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まとめ
土用というと、土用の丑の日・土用波など「夏」のイメージが強いかもしれませんが、土用は季節の変わり目である立春・立夏・立秋・立冬の直前の約18日間、1年に4回あります。
土用とは、次なる新たな季節への準備期間。
また土用は季節の変わり目ということもあり、「してはいけない」とされることが多く、過ごし方にも注意が必要な期間だといわれています。
・土いじり
土用の期間に「土いじり」をすることは、土公神を怒らせてしまうこととなり、その怒りによって様々な災いを引き起こす原因になると考えられてきたのです。
それでも、土用の期間に3日ある「間日(まび)」なら土いじりしても大丈夫でしたね。
・旅行や引越し
土用は、旅行や引越しなど移動も良くないといわれます。
土用はどの方位も良くない期間ですが、とくに良くないのが凶方位とされる「土用殺」への移動でした。
とはいえ、春のゴールデンウィークや夏休みとお出掛けシーズンと重なります。
土用殺の方位を避けた計画にするのがいいかもしれませんね。
…しかし、もはや昔から言い伝えられてきた土用の「してはいけない」ことに、科学的根拠がないことはご承知のとおりです(苦笑)。
ただ、土用の期間の気持ちのいい過ごし方として、あえて言い伝えられてきたように、土いじりは「間日」を意識したり、旅行の計画では「土用殺」の方位を避けることも計画の楽しみに変えてしまうような心の余裕も欲しいところです。
最後に、季節の変わり目ということで、土用は風邪を引きやすいなど体調管理が難しい期間になります。
無理をせず、しっかり食べて十分な睡眠をとる。
なにより、リラックスできる環境でカラダを整え、新たな時期をお迎えください。
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