先日、都内のカレー激戦区の1つ神田のカレー専門店「トプカ」に初めて行ってみました。
トプカは、欧風カリーとインド風カリーの両方が楽しめるお店です。
当日は、インドカレーの中でも辛いとされる「ムルギカリー」を注文したんですけどね。インド人の店員さんからは「辛いけどダイジョウブ?、欧風カリーもオイシイですよ」と紹介されました。
う~ん… 激辛はそう得意ではない私だって、無性に辛いものが食べたくなる日もあるのです。
実際、日本ほどカレーが愛されている国は他に例をみません。東京でも神田・銀座・新宿・下北沢・吉祥寺などカレー激戦区では「犬もあるけばカレー店に当たる」ほど目白押しです。
小学生に「好きな食べ物は?」と質問すれば、昭和の時代からカレーライスが不動の1位な通り、もはやカレーライスは日本人の国民食でしょう。
スパイスが強く効かせ辛いのが特徴のインドカレーに対し、欧風カレーとはどんな特徴があるのでしょう。欧風カレー=日本風のカレーともいわれています。
意外にも欧風カレーとは、名前に反して誰もが食べたことがある身近なカレーなのかもしれませんね。
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欧風カレーとは?
先のトプカでも、店員さんから紹介された「欧風カリー」。
欧風というだけに、多くの人はホテルなど仰々しいレストランで食べるようなカレーやマイルドな風味のカレーをイメージされると思います。
たしかに、欧風カレーという言葉の響きからヨーロッパ風のカレーと感じてしまいますが、実は欧風カレー発祥の地は日本。
現在、神田神保町に店を構えるカレー専門店「ボンディ」の創業者、故・村田紘一氏は美術の勉強のためにフランスへ渡り、現地のレストランで働き料理をも身につけます。
そこで出会った、デミグラスソースをカレー作りに取りれる手法を編み出し日本に持ち帰ったのです。
のちにカレー専門店「ボンディ」を開店する際、このスパイシーでかつマイルドなカレーを何と呼ぼうかと考えた結果「欧風カレー」となったのが名前の由来だとされています。
ヨーロッパ(欧州)とカレーの関係
欧州カレーの発祥は日本だったとはいえ、ヨーロッパ(欧州)にもカレー文化はたしかにあります。
ヨーロッパ(欧州)で、カレー文化が最初に根付いたのはイギリス。
イギリスは、かつてインドを植民地としていたこともあり、1770年代の産業革命以後、カレーを作るために調合されたインド産の混合スパイスや、カレーに合う米が流通し始めたとされます。
欧風カレーには小麦粉が使用されている
欧風カレーとインドカレーの大きな違いは作り方で、欧風カレーには小麦粉が使用されるということでしょう。
欧風カレーの由来はデミグラスソースであり、いわゆるシチューに少し似ているところがあります。
小麦粉を使用することで、とろみのある柔らかな食感となり、乳製品を加えることで、さらにマイルドな仕上がりのカレーとなります。
カレーの本場インドでは、宗教上の理由もあって使う肉の種類も鶏・羊・ヤギが多いのですが、欧風カレーの元となるデミグラスソースの出汁は牛肉であることからも、欧州カレーに入るお肉は主に牛肉となります。
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インドカレーとは?
カレーといえば多くの方は「インド料理」と思われますが、実はインドに「カレー」という料理は存在しません。
私たちがカレーと呼んでいる料理とは、サーグ、サンバール、コルマ、ダールなど、香辛料やハーブなどスパイスを効かせて作るインドの多彩な煮込み料理のことを指していて、同じインドでも北部と南部など地域によって味わいに違いがあります。
インド料理は香辛料を多用するため、外国人の多くはインド料理の煮込み料理を「カレー」と認識している。
しかし外国人がカレーと呼ぶインドの煮込み料理は、サーグ、サンバール、コルマ、ダールなど、それぞれに固有の名称があり、「カレー」という料理はない。
ただし、インドの観光客向けのレストランやインド国外のインド料理店では便宜上、メニューに「○○カレー」という表記をしていることも多い。
これは、旧宗主国のイギリス人がインド料理をカレーと総称して世界に伝えたことがおもな理由である。
ちなみに、カレーという言葉が生まれたのは16世紀ころで、インド南部で使われるタミル語でソースや汁という意味を表す「kari(カリ)」がイギリスに伝わる際に「curry(カリ」と訛り、いつしかカレーと呼ばれるようになったという説が有力です。
私たちが思う「カレーの本場インド」には、カレーという言葉は存在しないのです。
インド固有の言語には「カレー」という言葉はない。ただしドラヴィダ語族には野菜・肉・食事・おかずなどを意味する「カリ」(タミル語:கறி、kari)という言葉があり、それが英語で「curry」と表記されるようになったと言われている。
インドでも地域で違うカレー
私たちがインドカレーと呼んでいるスパイスを効かせたインド料理。その種類は、地域によって実に多彩です。
インドは日本の約9倍ともなる「広大な面積」を有し「多民族国家」だけに、地域によって使われる食材やスパイスに違いがあるのは当然でしょう。
インド北部地域では、カシューナッツやギー(バターオイルの一種の乳脂肪分)などをふんだんに使い、こってりとした煮込み料理が主流。
対してインド南部地域では、ココナッツミルクを使った、さらさらとした感じの煮込み料理が多くなります。
インドカレーも使うスパイスは色々
私たちが思うインドカレーも含め、インド料理といえば多彩なスパイスを効かせて作られるのが特徴です。
インドの家庭では、毎日・毎食、スパイス料理を食べているといって過言ではありません。
その日の家族の体調や、気候・食材・気分に合わせて、使うスパイスの種類や分量を決め使いわけます。
数多あるスパイスの中から代表的なものを紹介すると、
・ターメリック
・パプリカ
・ブラックペッパー
・クローブ
・コリアンダーシード
・グリーンカルダモン
・ベイリーフ
・マスタード
・レッドペッパー
・クミンシード
・スターアニス
・ナツメグ
・メース
・シナモン
・ガラムマサラ
・アジョワン
ちなみに、私たちが使うような「カレー粉」や「カレーパウダー」というものは使わず、家庭やお店で各々好みのスパイスを調合しながら作られます。
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欧風カレーとインドカレーの違い
欧風カレーとは、ヨーロッパ(欧州)のカレーという意味ではありません。
カレー専門店「ボンディ」の創業者、故・村田紘一氏は美術の勉強のためにフランスへ渡った際、現地のレストランで働くことで出会ったデミグラスソースをカレー作りに取り入れ日本へ持ち帰ったことが由来。
欧州カレーとは、云わば「日本独自のカレー」であり、小麦粉や乳製品を加えることで、とろみのある柔らかでマイルドな仕上がりとなります。
一方、私たちがインドカレーと呼ぶものは、本来インドでスパイスを効かせて作る煮込み料理を総称するもので、地域によって使われるスパイスの種類にも違いがあり、辛いものからマイルドなものまでさまざまな料理があるのです。
欧風カレーと日本のカレーの違い
日本にカレー文化が入ってきたルートとしては、文明開化の象徴でもある牛肉の手軽な食べ方となる洋食メニューの1つとしてという説と、イギリス海軍が日本の旧帝国海軍に「海軍カレー」として伝えたという2つの説があります。
大事なことはどちらの説も、現在のように欧風カレーやインドカレーが世に広まる遥か昔から、日本にカレー文化が誕生しているという点です。
イギリスから伝わったカレーは私たち日本人が食べやすいように、スパイスを少なめにし小麦粉を使うことで柔らかなとろみのあるカレーとなっています。
小麦粉を使うのは、先の欧風カレーと同じ作り方ですね。
元々ヨーロッパ(欧州)では長時間煮込む料理が多いように、日本のカレーの作り方も同じで、肉と野菜を煮込むことで旨味が増して美味しさを引き立たせています。
そこに加えるのが、カレーを簡単に作れるインスタントの「カレールー」。
固形のカレールーが日本に登場したのは、私の両親が生まれる以前の1950年(昭和25年)頃のことで、現在は、甘口・中辛・辛口・激辛など好みの辛さでカレーを楽しめます。
カレールーを溶かして作る日本のカレー
現在カレーを作るのに使われるカレールーは、肉や野菜の旨味、スパイスが調合されたカレーパウダーや油脂分に、小麦粉を合わせて水分を飛ばして固形にしたもの。
日本のカレー、とりわけ家庭で作るカレーや学校給食のカレーの多くは、じゃがいも・にんじん・玉ねぎ・肉を水で煮込み、出汁がでたところで固形のカレールーを溶かし作られます。
日本の家庭では「コクのある旨味ととろみ」が好まれるようで、カレールーの人気ランキングを見ても、「こくまろ」や「とろける」などのキーワードがつく商品名が多い。
その分量さえ間違えなければ、誰でもコクのある旨味ととろみを併せ持つカレーを作ることができるはずなんです。
なのに、わたしの母親はその昔、カレーパウダーを使ったカレー作りにチャレンジしては「失敗」していたのを思い出します(苦笑)。
カレールーではなく、カレーパウダーを使って作るカレーも上手に作ると、さらりとした食感で美味しいんですけどね。
まとめ
欧風カレーは、神田神保町に本店を構えるカレー専門店「ボンディ」の創業者、故・村田紘一氏が美術の勉強のためフランスへ渡った際に現地のレストランで働き出会ったデミグラスソースをカレー作りに取り入れ日本へ持ち帰ったことが由来。
つまり、欧州カレーとは日本発祥の日本独自のカレーで、小麦粉や乳製品が加わることで、とろみのある柔らかでマイルドに仕上げられるカレー。
一方のインドカレーとは、日本では便宜的にインドの煮込み料理を総称する形で使われている言葉で、そもそもインドにカレーという名前の料理はないことがわかりました。
インドでも地域や家庭で使われる種類に違いがあり、私たちがインドカレーに抱くイメージの辛い料理だけでなく、マイルドな味わいまでさまざまな料理があります。
ちなみに「海軍カレー」をはじめ、日本のカレー文化に大きく影響したイギリスでは、日本同様に国民食と呼ばれるほどカレーが親しまれているといいます。
アジアでは、タイのグリーンカレー・イエローカレー・レッドカレーなど、地域独自の発展を遂げているカレーが多々あります。
その国ならではのカレーを、食べ比べるのも楽しいかもしれませんね。
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