今回のテーマは、きつねと油揚げの関係。
マルちゃんの「赤いきつねと緑のたぬき」シリーズでもお馴染みですが、油揚げを使った料理は「きつね○○」と呼ばれるものが多いですよね。
なぜ、油揚げは「きつね」なのでしょう?。
「きつねは油揚げが好物だから」に由来しているとも聞きますが、自然に生息する野生のきつねの生活圏に油揚げが落ちているはずもなく、本当にきつねは油揚げを食べるのかですら疑問ですよね。
きつねと油揚げには、いったいどんな関係があるのでしょう。
今回は、きつねと油揚げの関係について、油揚げはきつねの好物だとされる由来や理由など、わかりやすくまとめてみたいと思います。
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きつねと油揚げの関係
きつねうどんや関東のきつね蕎麦には、甘辛く煮た油揚げが添えられますが、身近なところでは、いなり寿司(お稲荷さん)も甘辛く煮た油揚げが使われていますよね。
きつねと油揚げの関係には、この「稲荷」がキーワードであり大きなポイントです。
稲荷神社では油揚げがお供えされている!
日本の神社の中で最も多いのが「稲荷神社」であり、全国各地それぞれの地域ごとに「お稲荷さん」と呼ばれ親しまわれています。
そのお稲荷さんと呼ばれる稲荷神社の総本山となるのが、京都市伏見区の「伏見稲荷大社」。
伏見稲荷大社のHPにある「よくあるご質問」に、お稲荷さんときつねの関係を問う質問があります。
問:「お稲荷さん」ときつねの関係は?
答:「稲荷大神様」のお使い(眷族)はきつねとされています。但し野山に居る狐ではなく、眷属様も大神様同様に我々の目には見えません。そのため白(透明)狐=“びゃっこさん”といってあがめます。
勿論「稲荷大神様」はきつねではありません。
稲荷神社の入り口で私たちを迎えてくれる「きつね」とは、稲荷大神様のお使えだったのですね。実際に、きつねの好物とされる「油揚げ」が供えられています。
稲荷神社・きつね・油揚げは、セットでイメージされ、油揚げで包んだお寿司は「いなり寿司(お稲荷さん)」、油揚げがのったうどんや蕎麦は「きつね」と呼ばれるようになったとされているのです。
きつねは油揚げが好物?!その由来は?
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油揚げはきつねの餌?!
きつねと油揚げの関係をさらに調べていくと、油揚げはきつねの好物だとすることについて、きつねの餌とする2つの説がありました。
①ネズミを好物としている「きつね狩り」の際に、ネズミの油揚げを餌として仕掛けていたという説。
②穀物をネズミから守るため、ネズミの天敵であるきつねを神と崇め、きつねの巣穴の前に「ネズミの油揚げ」をお供えしていたという説。
どちらの説にも共通するのは、「ネズミの油揚げ」ですね。
元々は「ネズミの油揚げ」を供えられていたものが、仏教の「どんな生き物であろうと殺生はよくない」との教えを理由に、生きたネズミを殺生した油揚げでなく、大豆由来の豆腐の油揚げへ変化していきます。
きつねは油揚げが好物という本来の由来は、ネズミの天敵であるきつねの巣穴の前に、ネズミの油揚げをお供えしていたことにありますが、豆腐を使った油揚げをお供えするようになったことが、現在の「きつねの好物といえば油揚げ」というイメージが定着することにつながったという説です。
いなり寿司(お稲荷さん)の形から?!
きつねと油揚げの関係に、その年の豊作を感謝して稲荷神社へ「米俵」を彷彿させる形・色のいなり寿司(お稲荷さん)をお供えしたことに由来するという説も。
稲荷神社(お稲荷さん)へお供えする、いなり寿司(お稲荷さん)が稲荷神社の入り口で私たちを迎えてくれる「きつねの好物」となる逆説的な理由です。
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本当にきつねは油揚げが好物なのか?!
諸説ある「きつねと油揚げの関係」から、きつねの好物といえば油揚げというイメージが定着してはいますが、当然ながら自然に生息する野生のきつねは油揚げを好んで食べたりはしません。
自然界に生息する野生のきつねは肉食に近い雑食とされ、ネズミやウサギなど小動物のほか、蛇やカエル、ときにカブトムシなど昆虫類、木の実や果物なども食べます。
本当にきつねはネズミなど小動物を好んで食べているのですから、先の「きつねと油揚げの関係」のなかで紹介した「穀物をネズミから守るため、ネズミの天敵であるきつねを神と崇め、きつねの巣穴の前にネズミの油揚げをお供えしていたという説」の信憑性も高まります。
きつねは油揚げを食べるのか?!
以前、とあるテレビ番組で「きつねは本当に油揚げが好物なのか?」を確かめるコーナーで、実際に油揚げをペロッと食べてしまったことが紹介されていました。
ただし、犬や猫も油揚げを与えれば食べますし、量や味付け(塩分など)さえ注意すればまったく問題ないとされているものですから。
きつねは油揚げを食べるとはいえ、きつねは油揚げが好物かどうかは別の話だと思います。
まとめ
きつねと油揚げの関係には、稲荷神社(お稲荷さん)やいなり寿司に密接な関係があるようですね。実際、稲荷神社の入り口で私たちを迎えてくれるきつねに油揚げがお供えされているほどです。
一番興味を惹かれたのは、穀物をネズミから守るため、ネズミの天敵であるきつねを神と崇め、きつねの巣穴の前に「ネズミの油揚げ」をお供えしていたものが、仏教の教えに習う形で大豆由来の豆腐の油揚げになったのではないかという説であり、大いに頷けました。
今回の記事を紹介するなか、きつねと油揚げ、お稲荷さんとの関係を知ってしまった筆者は、きつねうどんやいなり寿司を食べるたび「きつね・油揚げ・稲荷神社」が頭のなかでぐるぐる回りそうです。
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